□月 ●日  No1805 地底× 天界○


正直なところ八雲商事に盆休みという概念がない。
幻想の世界で盆休みと言えば基本かき入れ時であり、この日にいくら稼ぐかが重要となる。
お墓の前では出店が並び、人でごった返す。先祖への感謝もあるがこれはこれで一種の祭だ。
見よ商売人どものギラギラしたまなざしを。


今時珍しいキョンシーが悪童どもにいじめられているのを発見する。
頭は弱いし、基本的に曲がるのが苦手なのはキョンシーが基本死体輸送用に開発された
代物だからである。キョンシーにすることで死体の輸送コストを大きく減らすことが出来る寸法だ。


またキョンシーはある程度だが妖怪と闘うことが出来る。 概ね楯だがないよりはマシだ。
こいつらはとっくに死んでいるので円陣防御を試みれば結構弾幕を防ぐことが可能だ。
術者さえ生存している限り、肉体の回復もそれなりに可能なのでそこそこ役に立つ。


ただ、基本的にパーなので本当に役に立たない。で、このキョンシーもまあ概ねパーなのだが
それでもそこそこ喋るしそこそこ意思の疎通もできる。おお、凄いぞこのキョンシー
ちゃんと使えるじゃないかと勝手に感心する。


なんか痴漢に遭っているような気がしないでもないが、体が冷たいので途中で助かる。
最近いるんだ。人間じゃないから犯罪じゃないって頭が特に弱い妖怪を騙すバカが。
こういうヤツは吸血属性を持つキョンシーのえさになればと思ったら、ぱっと離れた後に
ふらふらと倒れた後、姿が薄くなった。
ああ、吸われたんだなと思ったが、数分後に復活したので放置した。


幽霊なのはいいが、盆で帰ってきて早々痴漢に走る我らが仏様。
おまえらいい加減地底に帰りやがれ。


それにしてもこのキョンシー 近寄るなって言ってるけどこいつここに何かいますよって
言っているようなものじゃないか。
この段階で綿月豊姫に呼び止められる。
財布の中身が空だった。どれだけ食ったんだ。白玉楼の主人といい勝負なんじゃないかあの胃袋は。
一緒にいた依姫がああ、ここですここですと言っていたが、なんか無害そうなので
触るのをやめた。