死を免れたい。というのは権力の頂点に立つ者一度は考えることのようである。
大陸の皇帝も死を免れるために「蓬莱の薬」を探しに部下を行かせたという記録もあるくらいだ。
もっとも実際に不老不死なんて手に入れたら碌なことがないのはメトセラ娘や薬屋を見れば
よくわかることでもある。
権力にある者も概ね権力を奪われるとか国丸ごと消滅とかするのがオチだ。
つまり長い寿命を得てもその後まともな生活を延々と送れるとは限らないのである。
月の都がそれでも破綻しなかったのは、連中が最初から長い寿命を前提に社会システムを
構築しているからに過ぎないのだ。
で、今回の場所なのだが、ぶっちゃけ年数が経ちすぎてあちこちで崩落が起こっている。
ここにいるバカは自分が生き埋めになることを想定しなかったのだろうか。
いったい誰にこの地を維持して貰うのか考えてもいなかったのだろう。
短期的にはこの地を維持してくれる人がいたのかもしれない。
しかし、この地を維持することは当然金が掛かる。金が掛かるのだからもちろんその理由が
書かれた公文書が出回るわけで、公安がマミゾーとかいう狸を利用してまで状況を
確かめたいと考えるのは至極当然の流れである。宮内省にやらせておけば良いのに。
話は命蓮寺が建つ時にさかのぼる。この場所を維持するプロセスで霊的力場が集約しやすいこの地を
命蓮寺の連中は選んだが、どうもこの段階であの雲居一輪が一枚かんでいたことは間違いない。
で、あいつらはまるで既定路線のように地底にある空間を見つけ出した。
まあそれがこの廟だったわけだ。
廟は大半が埋まっていた。1000年オーバー経っているのだから当然のことだ。
そういうこともあって土木工事でこのあたりを掘っていたのだ。
お陰で、ココにいる連中のもくろみは筒抜けである。そりゃそうだ。何かやるにしても
きちんと引き継ぎをしないといけない。引き継ぎをするには引き継ぎ書が必要だ。
ココで眠っている連中が引き継ぎ書を作ったのか?それはNOだ。ここを守っていた人が
引き継ぎ書を作ったのだ。 もうね。
というわけで、実のところ埋まっていた駄目摂政が復活する流れはようやく固まった。
発掘したスポンサーが命蓮寺を引き継いだ連中だと知ったとき奴らがどういう顔をするのか
今から楽しみである。