□月 ●日  No1869 死んでも愉しく


小兎姫からあほくさい電話連絡。どこどこにいる幽霊が立ち退きに応じないから
応援に着てくれと言う話である。久々に朝倉とセットで行動開始。
顕界のアパートの一室、現場にいたのは正座しているサラリーマン風の男。
私はこの人物に見覚えがあった。


小兎姫が頭を抱えているのがわかる。こちらがしばし談笑をはじめてしまったからだ。
朝倉がナチュラルに会話に加わっているのがさらに頭を痛くしているらしい。


この人物、学生時代の同級生で、どういうわけかあの世に逝ってしまったとのこと。
自殺なのかと尋ねると、そんなわけねえだろと言われた。
ついでに朝倉を指さして彼女なのかと尋ねられたが、あっちが勝手に答えてきて
余計に頭が痛くなった。


小兎姫に何故お前が乗り出しているのかと尋ねると、なんでも彼が事件の目撃者
だとのこと。まさか殺されたのかと小兎姫に尋ねたら無言で頷かれた。
あーなるほどという具合。
それならなぜ小兎姫が立ち退きに応じないと言ったのか。


彼は気づいてしまったのだ幽霊でいることのメリットを。
ふつうならさっさとあの世に逝けばいいのだろうが、彼はこんなこともあったので
すぐに死んだと理解しなかったのだろう。ちなみにそういう場合は事件解決の
ためのメッセンジャーとなるとか、まあそういうことだが。


すっかり忘れていた彼はナチュラルに変態だったんだ。
高校の時、学校にエロ本を持ち込みみんなで盛り上がった記憶が蘇る。
お前、本当のところ何したんだと尋ねたら、要するに小兎姫を覗いていたらばれたらしい。
朝倉が何故私にしないとか訳の分からないことを言っているがガン無視。


なんでこんなことをしているんだと尋ねたら
「死んだのだから現行法の制約を受けないじゃないか」と言われた。
朝倉が後ろで「なら基本的人権もないよね」と言っていた。


マウントポジションでどつかれるかつての友人をただ呆然と眺めつつ。
死んでも清く正しく生きようと心に誓ったのだった。