□月 ●日  No1995 企業年金


うちの会社にも一応ながら企業年金がある。
利回りはそこそこ良く、結構な人数が利用している。
自前で投資している岡崎や北白河たちは信用しないので利用しないと言っているが
少額を振り込む分にはいいのかなと思っている。


八雲商事の企業年金が比較的信頼性に長けるのは、妖怪が運営する投資会社に
信託しているからだ。妖怪は長寿であるが故に極端に永いスパンで思考し
極端にリスクを取らないという特性がある。
一見リスクのある行動をするときがあれば、それは恐らく徹底的なリサーチが
行われた後であると言えるだろう。
そうして妖怪達は財を蓄えてきた。


もちろんこのシステムは八雲商事に勤めている人だけの特典となる。
あっちこっちの会社に手を広げて破綻する投資会社とは訳が違うわけで
トータルで見れば本当のところはそこまでお金は集まっていないような気もする。


もっとも企業年金も貰うまで年数があるし、うちの会社は定年まで結構期間がある。
ある程度実力さえあれば定年なんてあってなきものと言ってよい。
妖怪とのコネクションがある人材はどうしても必要だからたとえば5年程度
定年が延びたところで妖怪たちにとっては誤差範囲でしかない。


企業年金を貰うよりは働いた方がお金になるからというわけで
結局働いてしまい、なかなか企業年金を貰えない人も居る。
仕方がないから途中で引き出してしまって最終的に貰える金額が目減りしている人を
何人か見かけているが、考えても見れば会社にいる限りはあの世に逝っても
強制送還されるので、結構上手い考えなのかも知れない。


とはいえ、お金はあちらこちらに分散して保管運用すべきと言うのは
借金取りの天狗達も、糞狸も言っている話である。
お金に関する智恵を幾らか拝借して少しは良い暮らし向きをとはいつも思っている。
幻想郷生活が長くて自家用車を手放したばかりだけどな。