□月 ●日  No2046 幻想世界のパラドックス


文明から隔絶した世界に住みたい。綺麗な世界に住みたいという欲求は必ずあるだろう。
汚いエネルギー源から解放されるためなら文明レベルを落としても良いという馬鹿もいる。
そのくせこの手のタイプの人種は自分が不便な生活をするのは耐えられないという我が儘である。
何故そういいきれるのかって。こいつら幻想郷送りにするとそろいも揃って音を上げるからだ。


意外と知られていないことだが、実際には江戸時代の段階から幻想郷待望論は存在していた。
人口が増えて、木炭などの燃料が必要になった結果、あちこちで森の伐採が行われていたからだ。
当然妖怪達の住処は大いに奪われた。 西洋文明が流入したから環境が破壊されたという
のは嘘だ。既に環境破壊は大問題になっていたのだ。


西洋文明が入ってきたときそれを後押ししたのも、歓迎したのも妖怪達だった。
そうでなければ妖怪達はもっと人間達に害を加えていただろう。
西洋文明がもたらすエネルギーは自分たちの住処が減るスピードを遅くするには充分だったし
何より高度な輸送手段が生まれたことで幻想郷は現実味を帯びたのだ。


しかし、幻想郷が外の世界と分離を果たしても駄目なものは駄目だった。
結局生きるために森を焼き払って、エネルギーを得るしかない。
外の世界との交流を完全に断つことなんて出来なかったのだ。


幻想郷で生活しようとするなら相当の覚悟がいるだろう。これでも比較的マシなレベルであるが
それだって相当慎ましい生活をしないとならないだろう。


あまり言いたくないがそもそも幻想郷住民が飲んべえなのも実のところ、食料をお酒で
カバーしている部分が大きいからだったりする。
それが果たして正常なのかと言われるとなんとも言えない気持ちになる。
肝機能障害に至る幻想郷住人を見ると色々と申し訳なく思う時もある。


幻想の世界はロマンでは暮らすことができない。
無いから仕方なしに行われている理論は顕界となにもかわらない。
だからそこにロマンを感じられても困るのである。
私からすればそれはお目出度い思考に過ぎないのだ。