□月 ●日  No2105 消費者問題に詳しいマミゾウさん


糞狸の話をしておきたい。
この糞狸が幻想郷にやってきたのは最初ではない。
我々八雲商事社員と同様の境界型妖怪と言ってもよいタイプの妖怪だ。


彼女が幻想郷にやってくるのは、概ね経済トラブルに関する件のせいだ。
すなわち、マルチ商法ネズミ講の類である。
幻想郷でもこのようなネズミ講の被害という物はある。
特に、自治体のつながりが強い幻想郷においては、自治体まるごとネズミ講の被害になりかねない。
その抑止力が妖怪達である。大体彼らに物を売りつけようとする動きがある場合、通報が入るのだ。


もっとも、糞狸を呼び出しているのは概ね霊能局の連中であり、我々の関与するところではない。
親方日の丸に楯突くとこっちが危険になるからでもある。


ネズミ講が何が問題なのかと思うかも知れないが、幻想郷の富が一定箇所に集約し、経済が回らなくなれば
いともあっさり博麗大結界が破壊される結果となる。
幻想郷の政治不信はクリティカルな結果を招くのである。そうなる前に何かしら対策を講じるのである。


そこで、糞狸たちは一種の弁護士団のような動きをしてネズミ講を行う連中を一斉に検挙する。
一報で外の世界の商品を売り出していると分かった場合は、我々に圧力を掛けて商品を
流通させないように動く場合もある。
商品がやってこなかったらネズミ講も大ダメージを受けるのだが、連中もさるもので、
商品不足を逆手にとって、商品が不足するほど人気と言うから始末が悪い。


とはいえ幻想郷の場合顕界と違って霊感商法が通用しにくい。
大体の被害者が妖怪相手にアイテムを使ってみて効果がないことに気づくからだ。
このような商売をやるものは幻想郷に熟知していない、顕界出身の詐欺師と相場が決まっている。
決まってリンチに遭って数日後には妖怪か、野生動物の餌になるだろう。


では、なぜ鵺は糞狸を呼び出したのだろうか。
理由は簡単、三馬鹿が当座のお金を手に入れようと、霊廟にあった壺を売ろうとしたからだ。
彼女たちにとっては生活のため仕方なく行った事なのだろうが、彼女にはマルチ商法に映った
というわけである。


なってこったい。