□月 ●日  No2219 変態は妖怪を超える


八雲商事も一応内定式というのをやったらしい。
周辺の会社に倣ってということだが、この会社がまともに倣うところをあまり見たことがないのも
事実だったりする。


 そもそも八雲商事に入社するにはある程度のコミュニティ能力とか、ある程度の学力とかが必要にな
るがもっと大事なことの中に妖怪たちの縁というものがある。
つまるところ妖怪の存在をきちんと認知できるかどうかがかなり重要だというのである。
ところがこれがとても難しい部分である。この手のものは所謂分裂症的なメンタルの問題なのか
それとも本当に化け物と遭遇したのかで話が結構変わってくるからである。
 もっともメンタル的な問題であっても化け物への耐性を極端に上げているような人間もいるというの
だから始末が悪い。そこでといえばそこでだが最近行っている悪趣味なテストが死体の写真を
見せることでありまして、それを正視できるのかそれとも違うのかである程度の判断ができるらしい。


 では正視できる人が受かると思ったら実はそうではない。ここで見ているのは反応であり、
なんでもないように見る人もいれば恐る恐る見る人もいて人それぞれなのだが、あまりに
こともなげに見てしまうと、今度は精神的オーバーフローに弱い可能性を指摘されるとのことで
これがなかなか難しいのだと思われる。
 この手の訓練は入社後に身に着けるものであるということなのだろう。
 正しい訓練をしないと色々問題も出るというのもある。


 最近はネットでこの手の写真を見て事前に学習する学生もいるのだがこの場合は特別コースが
待っている。そういえば一発合格で、妖怪と遭遇したら恍惚とした表情で寧ろご褒美ですと言い切った
変態がいたが、こいつは一発合格になったらしい。たぶん前線送りだろうが。


 それにしても最近は妖怪たちの認知度が上がったせいか妖怪の行動をみても喜ぶ変態が
増えて困る。変態は色々な意味でメンタルが強いようで、見極めるのが難しいから慎重になりたい
ところである。