□月 ●日  No2221 食糧難想定


幻想郷というのは殆ど偶然の産物で生まれたと誰かから聞いた覚えがある。
最初は地球が起こした大変動だった。大変動はあちこちに結界を作り、そこで生態系を閉じ込めた。
生物たちはそこで力を蓄えて激突したと言われている。
では大結界は生物たちの激突の時に破壊されたのかというとそうではないという。
いつかは結界を突破してしまうことがあるのである。
それは環境の適応によって生み出されたと言われる。


そんなわけで、幻想郷に何が起こってもいいようにとワーストケースを含めた様々な想定を
行わないといけないわけだが、ここ最近妖怪たちというより、色々力を持った連中が
集まったせいもあって、地殻変動やら天変地異が増えているという話は聞いている。
天変地異はやもすれば幻想郷の食糧を吹き飛ばすようなショックに変貌する可能性があって
徐々にだが、一般人の生活も脅かしている。


しかし、幻想郷は外に逃げる場所がない。当然そうなる以上は厭世観をもたらす結果となる。
すると基本的な幻想郷の社会を織りなすシステムが崩壊しだすのだ。これは避けないといけない。
八雲商事とはこうした食糧不足による幻想郷の崩壊を防ぐために存在していると言ってよい。


所謂机上訓練というものだがいざとなったときにどれだけの輸送能力をもって
幻想郷に食糧を運ぶのかの検討が続いている。しかし、困ったことに割とこの辺の実務周りの
話が紅魔館の連中に集約しているのに大変な危惧を覚える。もちろんほかの連中も誘ってはいるのだが
三馬鹿たちが少し良い反応を示すだけであまりよろしい結果になってないのである。


ヴァンパイアの主人が頭を抱えて唸っていたのは言うまでもない。
お前ら信仰を集めた後に何をするんだというのはメイド長の意見だが初めて意見があってお互いに驚いている。