□月 ●日  No2248 白玉楼の御庭番 魂魄妖夢


白玉楼の御庭番 魂魄妖夢
はっきり言いまして白玉楼に近づくのはかなり苦手である。
まず殺気に満ちている。御庭番がここにある庭木を剪定するときどう見ても普通に切っているとは思えないのである。
この辺の話を現在、出会い系サイトでたまたま北白河に出会ってしまい絶賛謹慎中の魂魄に話を聞くと
やはりこの白玉楼にある庭木というのはまともな代物ではない模様である。
つまるところここにあるものはみんな何か謂れがあるような代物なのだ。


当然だがここの庭木が育つというのは、大体まともな状況じゃないことは間違いない。
この庭木に近づくと、自分の持っている端末類に備わっている各種警報が鳴りまくってそれを
御庭番が不快に思うという場面になる。
ここに来るときは必ず<死んでから>こい言われるがたぶんその辺も関係しているのだろうと思う。


あまりに見せろと言うので、恐る恐る端末を差し出したのが、そこからの反応が激変して
些かびっくりする。その表情と言ったら普通の年相応の娘だったからである。
そして御庭番が恐ろしいことを言い出した。「無料通話できる?」と。


私の会話は常に録音されており、この辺の危険地帯というのは常時モニターされて
あっちの声も聞こえるわけですが、聞こえるわけですよ、あっちで「またお前か」とか悲鳴とか。


その時、樹木の形が変わったことに気付いたのですね。この辺は訓練だと思うのだが
幻想の世界では植物でも姿が変わるのは割と当たり前である。こちらもすぐに反応して。思わず「おい」と
口に出てしまった。考えてみると下策である。攻撃のタイミングをあげたようなものだ。
彼女は上機嫌な表情で背中から襲ってきた樹木を剣で薙いだのだった。
切った跡から赤い液体がしたたり落ちて、思わず大丈夫ですか?と尋ねてしまった。
もちろん大丈夫か心配だったのは主に樹木である。


彼女はあっけらかんとした表情で今度やったら焼きますと言い切った。


白玉楼の御庭番 魂魄妖夢
彼女が剣で剪定するのはこんなやばいやつらと暮らしているからである。
くわばらくわばら。