幻想郷で七草粥を食べる。 七草足りない気がするが顕界とは違うので仕方なし。
幻想郷において七草粥は一種の風物詩ではない。
食べないといろいろまずいというのが実際のところだ。
それには顕界の人間と幻想郷の人間の根本的違いについて述べないといけない。
幻想郷は隔離空間ゆえに常時食料が不足している。正確にはそれが自然の姿であり
現代の物流が進歩して自分たちの好きなものが食べられる世の中とは違う。
現代の人間は夕飯に何を食べようと考えるが、あちらでは食べられるものが何があるだろうってことになる。
当然栄養は偏りがちだし、自称現人神でさえ最初期は栄養失調に陥れることになる。
顕界から来た人間もだいたいはこのパターンで体調を崩し、多くのものは亡くなってしまう。
このことが皮肉にも幻想郷住民にとってのバリアーになっているのだからたまらない。
しかし人間はよくできている。体の組成を変更し、粗食に耐えられる肉体構造へと変化するのだ。
これは人間の歴史が基本飢餓の歴史であるからに他ならない。
ところが、正月の場合だとその辺が逆に作用する。つまり幻想郷の住民にとって
お正月のごちそうは体に大きな負荷がかかるのだ。
顕界ではその点は全く問題ない。あくまで季節ものの食べ物で片づけることが可能である。
しかし幻想郷住民にはこれらごちそうがかなりの負担になる。
一週間くらいたつと、胃腸を壊すものが後を絶たないのである。
従って胃腸を休ませるための薬膳が必要になってしまうのだ。
そんなわけで、幻想郷住民は居たたまれなくなってこの辺の食べ物を
ほぼ強制的に食べることになる。難儀な話であるが顕界と幻想郷は残念ながら
違うという事実をきちんと認識しないといけないだろう。