□月 ●日  No4758

 私はクリスマスが嫌いだ。
 正確には、この日はこの霊能局にとっての書き入れ時であるためだ。
 予定の問題ではない。櫻崎さんが不憫になることはしばしばある。
 私に言わせればこの日は特別な日でも何でもない。

 寧ろ魔術を利用するには悪条件が多い日でもある。当然のことだけど
 魔術にノイズが走って事故率が急上昇するのに、魔術を使いたがる人が
 妙に増えるのだ。だから、一気に解決した後で理香子と駄弁るのが
 毎年の光景になってしまった。
 
 今年も魔術に失敗した一般人というより変質者を相手にしないと
 いけない。なんだか知らないけど異常な程にセクハラ率も跳ね上がる。
 そんな相手を有無を言わさず抹殺できればいいのだけど
 実際のところは拘束するしかない。迷惑禁止条例で逮捕する。
 なんでこいつら触手なんてはやしているのだろう。
 もちろん、触手なんてコスプレ道具だから、しっかり切断してしまう。
 
 きれいに切断されたのを確認して肩を下ろす。
 一部は生検にもっていく。残りは病院に担ぎ込んでから
 検察に引き渡しする。もう面倒でしかたない。

 帰りがけでぬとめが一致していなさそうな明羅さんを発見する。
 多分何かしでかしたっぽいので、他人の振りして通り過ぎようと
 したら櫻崎さんが余計なことをしてくれた。
 もうこうなると観念するしかない。まずは理香子を呼んで事情説明したら
 滅茶苦茶うんざりした顔をされた。うんざりしたいのは私じゃ。