Intermisson2


幻想郷に絶えず物資を送り続ける企業「八雲商事」
その列車の運行を支えるのが「鉄道警備隊」とよばれる人間と河童の混成部隊です。
今日は妖怪の山にある24時間眠ることを知らない鉄道警備隊の24時間
密着取材を敢行しました。


早朝、日が昇ったと思ったら鉄道警備隊早番の出社です。
彼らの最初の仕事は鉄道沿線内に妖精たちがいないかを確認する作業です。
悪戯好きの妖精たちは置石をしたり、線路を凍らせたりするので
彼女たちを発見しだい排除しないといけません。


妖精たちはおおむね博麗神社の巫女様の名前を出しますとすぐに逃げます。
彼女たちにとって巫女様は天敵です。
もっとも彼女たちにとって一番の脅威はやっぱり阿礼乙女様でしょう。
彼女の名前が出ると、妖精たちは恐怖のあまり硬直してしまいます。


線路の上で氷の妖精さんが寝ています。このままだと轢かれますが
基本的に放置です。 列車には排障器があるのでそのまま轢いてしまうそうです。
妖精たちはやっつけても簡単に復活するのでそれでいいみたいです。


お昼になりますと遅番の人がやってきます。
八雲商事では三交代勤務となっており、早番遅番夜勤にわかれているそうです。


早番の人は昼食の時間です。
面白いのは妖怪向けと人間向けで食べ物が分かれていることです。
大体同じ献立で人間が妖怪のものを食べても基本的に安全だそうですが
妖怪が人間の食べ物を食べると中毒症状を起こすときがあるそうです。
難しいですね。


お昼過ぎ、妖怪の山にある駅にたくさんの妖怪が集まります。
彼らは荷物を運ぶ力自慢の妖怪たちです。
中には魔界からやってきた人もいるそうです。 
彼らは荷物をコンテナから運び出します。 そのままベルトコンベアにのせて
検疫部へと運ばれます。


検疫部の里香さんにここの業務についてお聞きしました。
「ここでは、幻想郷にとって危険な品々が流れ着かないように監視をしています。
とくに化学薬品や謂れのある品々には注意を払って業務を遂行しております」
メンバーは合計100人ほど、幻視担当、化学検査担当などに分かれており
まるで結界の外にある税関を思わせる雰囲気です。
検疫がなされた品々はその後、妖怪たちの元や人間の里へと運ばれていきます。


夕方、早番の人が終礼を終えてそれぞれの住処へと消えていきます。
人間の職員は、里に住んでいるわけではなく、近所の集合住宅に居を構えています。
そこでは、まるで結界の外のような暮らしができるそうです。


遅番の人は夜勤の妖怪たちに仕事の引継ぎをします。
里香さんが没収した商品のリストを見せてくれました。
殺虫剤などのほかにネギもありました。 特定の妖怪が中毒を起こすそうです。
列車の乗組員の方が、明日の商品配達のために仮眠室に向かいました。
この方は、特別なお客様に商品を配達する仕事をしているそうです。


太陽が沈むころ 妖怪たちの時間が始まります。
河童や天狗たちが、先ほどやってきた列車のメンテナンスを始めています。
列車の消耗はかなりのもので、表面は一部焼け焦げています。
これから補修の印を書き込んでその上に塗装をするそうです。
私がやってきたときは排障器の交換をしていました。
妖精を轢いたのではなく、石ころをはじいたそうです。


竹林の警備員の方が小物の宅配をはじめたそうで、商品の引き取りに
きました。 マニュアル化が進んでいるらしく、管理台帳にサインした後
いずこかへ飛んでいきました。


夜勤の妖怪たちの仕事は続きます。届いた商品を仕分けして
たな卸しをしています。 在庫は逐一わかる仕組みになっているそうです。
また、この日は妖怪の清掃業者がやってきて倉庫内の清掃をしておりました。
天然のワックスを床に塗ってぴかぴかになってます。
こうして妖怪の山にある駅の夜は更けていくのです。


いかがだったでしょうか?
今回の取材をとおして、私たちの食べ物や衣服がこの駅の職員たちによって
支えられている事実をあらためて分かってもらえたかなと思います。
皆さんも、自分たちの身の回りのものがたくさんの人たちによって支えられていることに
思いを馳せてみてはいかがでしょうか?



                      妖怪の山工場の社内報より抜粋