■月 ○日  No419 妖怪とキスするときは抗生物質必須ですよ


半年くらい前、博麗大結界の外で自然保護テロを企て、ボスの計らいで
幻想郷へ行った男が薬屋の病院で入院しているという話を聞いて様子を見に行った。
実際に薬屋の経営する病院へ行ったら、なんと面会謝絶になっていた。
なんでも肝機能が低下したため予断を許さない状態らしい。


この男には妖怪の彼女がいた。彼女も毎日男のところへやってきており
病院内では不幸なカップルとして話題になっているらしい。
薬屋に頼んでカルテを見せてもらって驚愕した。
そこには寄生虫による肝機能低下と書かれていたのである。


よくペットとキスして感染症にかかってしまう飼い主が後を絶たないが
今回はまさにそのケースだったのだ。犬から感染する寄生虫エキノコックス
白狼天狗と恋愛した男が死に至る症例が報告されたことがあったが
実際に目の当たりにすると身につまされる。


薬屋は男を助けるには臓器移植しかないという。 月なら代わりの臓器を用意できるだろうが
ここではそんなことはできないだろうと言うのである。
私はこれを薬屋の挑発と受け取った。


ボスに次第を報告するとやはり同じ事を考えたようだ。
生体肝移植を行うための設備は妖怪の山にある。
朝倉は相手に多少こちらの手の内を見せるべきだと言った。
こちらの手の内を見せることで相手の行動を限定させることができるというのである。


結局男は、妖怪の山にある現地法人用の病院へと移された。
完治後は恐らく薬屋によって色々と検査されることだろう。
これらのやりとりを見るにつけ、薬屋は本当に心を許してはいけない存在なのだと痛感した。