△月 □日  No497  食べていい人間から食べられる人間へ


幻想郷の外から来た人間は情け容赦なく妖怪の餌食になるわけだが
自称現人神が来てから彼らの生還率が上がっているような気がする。


最近外の世界の人間の死体が五体満足な状態で発見される場合が増えている。
通常死体が五体満足な状態の場合埋葬の証拠となりうるのだが
この場合は妖怪が人間を食べていないということである。


幻想郷の妖怪が外の世界の人間すら食べなくなったのは大問題だと思う。
妖怪たちの本能が失われたからとも考えることもできるからだ。
そこで近くを通りかかった妖怪少女に事情を聞いてみた。 
なぜ妖怪たちは最近人間を食べなくなったのか?
自称現人神が逆襲したからであろうか


その答えはなんと最近人間がまずくなった為らしい。
人間にうまいまずいなんてものがあったのかと思うのだが、事細かに聞いたら
成る程納得の答えだった。
実が締まっていると思ったら中がぶよぶよで食べられないと妖怪少女は言う。
どうやらメタボリックシンドロームの事らしい。 妖怪の多くは栄養のある内臓を
優先的に食べるのだが、その時味を酷く損ねるのが内臓の廻りに付着した脂肪らしい。


また最近の内臓は薬臭かったり、酷い場合だと金属片やら管が入っていたりして
何も考えずに食べると食あたりをおこしてしまうという。
この前もルーミアが内臓を食べてピーピー鳴いていたが
どうやら金属片を一緒に食べてしまったらしく かむ度に電気が走っていたらしい。
また睡眠薬を大量摂取した内臓を食べた妖怪がその場でいびきをかいて寝ているという
事態も起こったことがある。 それなら素直にお金をだして美味しい食べ物を
食べた方がマシだという妖怪が増えてもおかしくないところだ。


要するに不健康な人は妖怪たちもお断りということなのだ。
妖怪たちに食べられることで自殺を図りたい人はまず健康になってから実行されたい。
メタボのため妖怪たちに食べられない人間を回収するのは正直やるせない。