△月 □日  No498 恐怖の空襲


今年も忘年会のシーズンである。 幻想郷でも外の世界と同じように忘年会があり
基本的なスタンスは今も昔も変わらないことが見て取れる。
しかし幻想郷と我々の世界の大きな差はやはり、幻想郷では警察を気にしないで
色々飲めることにあるだろう。


この時期になると霧雨店とか他に卸しているお店の忘年会に参加して
お酒を飲むことが日課となる。 私は下戸なのでたくさん飲むことができないが
それでも気楽に飲むことができるのはよい。


飲み会が終わって外に出たら傘が渡される。 空は満天の星空。
美しい月を眺めながら家路につくのだが、このとき地面と上空に気をつけないと
いけないのだ。


歩いていると地雷を踏んだ妖怪がえぐえぐと泣きじゃくっている。
地面を見れば吐瀉物が流れている。 直視できない光景だ。
そしてそれは遙か上空から舞い降りる。 
傘に妙な衝撃が走る。 酒の臭いと酸っぱい臭いが混ざってかなりきつい。
これはもはやテロだ。


妖怪たちは概ね大酒飲みで知られているが、こと忘年会シーズンでは
お酒が抜けないまま次の飲み会を始めてしまうので酔ってしまう妖怪が多発する。
まっすぐに飛べない妖怪たちや、屋根を破壊しながら墜落してそのままその場で
眠ってしまう妖怪もいて迷惑この上ない。
その中でも特に最悪なのは、空を飛びながら吐いてしまう妖怪だ。
素直に地面を歩くべきだと思う人もいるが、地面の惨状を知る妖怪たちは当然
高度を高くにとる。 そしてあちこちに爆撃してしまうのである。


そこで幻想郷にも代行タクシーみたいなものが存在している。
幻想郷のタクシーは空飛ぶ輿と思ってくれればよい。
空を飛ぶのが得意な妖怪が小遣い稼ぎに酔っぱらい妖怪を乗せて自宅まで
運ぶわけである。 
お金に余裕があればタクシーを利用して帰るのが一番だ。
ただ、風がもろに当たるので乗るときは防寒着必須である。


傘が吐瀉物で汚れたので、傘を何度か開閉して綺麗にしようとしたら
空から二発目の直下型ボムをくらった。 目は痛いわこっちも思わず貰いゲロを
するわもう最悪である。上空を見たらかわいい鴉天狗が犯人だったようだ。
風呂にはいるまで吐き気が止まらなかった。
泣きたくなってくる。