□月 ○日  No517 百鬼夜行裏事情


最近妖怪たちに面が割れている為か色々と相談事を引き受ける機会が増えたわけだが
博麗神社に居候している鬼娘の傍らにいる百鬼夜行たちにはほとほと手を焼く。
当たり前だが個性的な妖怪変化が100匹いれば色々といざこざも絶えないし
実は呼び出しても本当は100匹現われない。


100匹の内20匹はシフト表に従って休みである。休日予定を見たら
私より休みがあって涙が出た。 私の待遇は妖怪未満らしい。
さらに3匹は病欠である。 薬屋目当ての奴もいる。こいつらは揃って
「鬼娘にも胸があれば」とほざいている。 コメントに困る。


天狗達に借金をして逃亡中の妖怪もいる。呼び出されると巨大な妖怪の陰に隠れて
天狗の目を誤魔化すのだが、すぐに見つかって追跡される。
鬼娘が呼び出す妖怪達の中に天狗がツーマンセルで見つかったらそいつは
ただの借金取りで戦力外であると考えるべきだ。
ただし、敵も借金を抱えている場合は天狗達の興味はそちらに移るので注意されたい。


妖怪関係に悩む妖怪もいる。色恋沙汰から家族の悩みまでエトセトラである。
夫婦で参加している妖怪の場合、呼び出されながらも喧嘩してぶん投げた
包丁が敵に当たるなんてことも起こってる。
先日は弾幕ごっこの間に呼び出されてそのままぎっくり腰になって退場した奴もいた。
今はストレッチ運動をさせて鍛えている。
作戦内容を忘れてしまう妖怪もいる。 作戦といっても突撃以外の作戦は
無いように思えるのだがそれすらも忘れるのが百鬼夜行である。


鬼娘はしばしば宴会での人集めに利用される。 自称現人神が鬼娘の能力に着目して
どうにかして自分のところへ引き入れようと画策しているのだが
鬼たちは自分を利用している奴らにはとても敏感だと言うことを今一理解していないようだ。
どうやったら鬼達の協力を得られるのかと聞かれても、利用しようとしているから
駄目なのだから答えようがない。


当然宴会になれば百鬼夜行たちも酒を飲みまくる。
次の日になると二日酔いになって呼び出してもやってこない妖怪がいる。
彼らを束ねるリーダーは、自覚が足りないと悩むがなるようにしかならないだろう。


鬼娘に呼ばれない暇な時間にアルバイトをしたいという話を聞いた。
最近は縫製のアルバイトをして荒稼ぎする妖怪もいる。
もっとも稼いだお金は鬼娘の酒代に消える。
余談だがうちの会社は副業禁止である。


幸い鬼娘は10匹を超えると「たくさん」と数えてくれるので多少のメンバー不足も
問題にならない。 みんな結構適当に生活しているのだなと思う。