□月 ★日  No591 それぞれのホワイトデー


ホワイトデーである。今日の今日まで完全に忘れていた。
ホワイトデーを気にするという発想すらなかったため大ピンチになった次第。
朝倉に「忘れていると思うけど」と話を振られて本気で焦った。
魂魄によると浅間のビール一ダースとは、ビール箱一ダースという意味らしい。
幸い私は今日幻想郷勤務、浅間対策は後に考えることにしようと思っていたが甘かった。


自称現人神にものを届けに行ったら、ホワイトデーのプレゼントをもらってないと言われた。
おねえさんは義理だろうがもらったものは返さないといけないと言うので
とりあえずほしい物を聞いたら、お賽銭をよこせというのでしぶしぶ従った。


博麗神社にものを届けに行ったら、お賽銭をよこせと言われた。
自称現人神のところに賽銭を入れておきながら私のところに賽銭を入れないとは無礼だと
食ってかかられたのでしぶしぶ従った。
どうやら例の神社の模様を鴉天狗にでも目撃されたらしい。
博麗の巫女の裏にいたのはあの鬼娘だった。 博麗の巫女から運良く逃げられたとしても
鬼娘から逃げるのはまず不可能に近い。


明羅女史にそのことを話したら笑いながら「当然私にもお返しをくれるだろうな」と言われ
阿礼乙女とセットで団子をごちそうする羽目になった。
明羅女史は痩せの大食いだと言うことが判明した。 かえって高くついた。
白玉楼のお嬢様ほどではないのだがかなり食べる。


さんざん出費してどうにか帰社すると、浅間が満面の笑みでお返しちょうだいと言ってきた。
北白河はあっさりと「何も期待していないから大丈夫」と言った。
それはそれでダメージが大きい。
ヴィヴィットが岡崎にホワイトデーのことを聞いている。ヴィヴィットやルーコトたちは
メンテナンスしてもらえれば満足らしい。


浅間にビール12ケースが本当か問いただした。 いくらなんでもぼったくりだ。
すると浅間は三人でと言ったはずという。 魂魄は人に全額払わせようと目論んだのだろう。
結局、みんなでお金を持ち寄ってビール12ケースを用意した。


朝倉がそれはどう考えても騙されていると苦笑していた。
お返しはいりませんかと聞いたら、お返しを期待するなんて野暮だと言われた。
要は気持ちが大切だったらしい。
明羅女史からのお届け物を預かっているというので開けてみたら、払ったはずの
お団子代が入っていた。 一皿分だけの費用が抜かれていた。
心から参ったと思った。