□月 ★日  No601 メンテナンス要員の日記 


この会社にVivit-zeroがやってきて早半年。彼女は順調に成長している。
幻想郷と顕界との環境の相違にも対応して順調な滑り出しをしている。
そもそも彼女は来るべき月との戦争に対応するために開発された。


当初は八雲家が運用していた式を制御して運用する予定であったが
事故が多発したためお流れになった。
一時はどうなるかと思ったものだがVivitのプロジェクトへ編入してからは
上手く成果を残していると思う。


基本は魔力で動作しできなくなると燃料電池で動作するのだが
魔力動作の信頼性がとても高く燃料電池の出番はほとんどない。
良くできたシステムだ。
人形を遣う魔女が作る魔法人形の技術を借り受けて開発は行われた。


引っ越すときの支度金と住居と引き替えであったが
今にして思えば安い買い物だと思う。何しろ彼女の協力は数年分の研究になる。
その費用を考えればとても安い買い物だったと言い切れる。


Vivitは幻想郷でいろいろな学習をした。
特に紅魔館にいるメイドたちの動きについては強く学習するように調整したつもりだ。
社内に置くとちょっと目を離した隙に営業部の朝倉理香子が変なことを学習させてしまう。
導入初日も、地面に寝転んで尻を掻きながら煎餅を食べる動作を身につけてしまった。
これはなんとしても避けねばならない。


今日、がに股でタオルを打ち付ける動作を学習していたのでシャットダウンさせてログを確認した。
記録内容を確認するとあり得ない人物の動作を学習したことになっている。
学習内容はすぐにリセットしたが、学習システム内に大きなバグがある可能性がある。
とりあえず研究所員を集めて簡易的なデバッグを行ったが問題が見あたらない。
博麗の巫女が月へ飛び出すまで日がないため、これから缶詰になって
問題を把握する予定である。


娘と妻に会えなくなるのはとても残念だがこちらも仕事だ。
心してかかるつもりだ。