□月 □日  No635 ロケットあれこれ


ロケット運航スタッフのところへちょっかいもとい慰労に向かう。
中は沢山の天狗たちと岡崎がまるで徹夜続きのデスマーチ現場のような状態で突っ伏している。
天狗達の半分は今もモニタリングに勤しんでいる。
今日の仕事は、彼らに滋養強壮のドリンク剤を届けることだ。


ロケットに貼られた札はそのままセンサーとして働いているらしく、それらの動きを観察することで
現在の状況を飲み込むことができるらしい。
だが、それは彼らにとってはどうでもいいことだったようだ。
彼女たちが疲労困憊している理由。それはロケットの中で起こっている数々ので低次元な出来事のためである。


目に隈を作りながら起き上がった岡崎を労う。
岡崎曰くヴァンパイアの主人がやれ温度が高いだの、やれ寒いだのもう言うことがメチャクチャで
都度ロケット内のコンディションを変え続けているらしい。
あの岡崎でさえあの気まぐれにはほとほと呆れかえっているようだ。
一方で博麗の巫女のストレスが急上昇しておりキレるたびに急加速急減速を繰り返している。
おかげでモニタリングしている天狗達がそのたびに気絶していたというわけだ。


まるで小学生のバス遠足状態である。 みんなで身勝手な我が儘を繰り返しまさにカオス状態だ。
ただおかげで船外活動をしているルーコトたちはとてもやりやすい。
月の民もぶつかる宇宙ゴミで損傷したロケットを釘を咥えながら板を打ち付けて修理したり、
切り離したロケットを減速させながら落としたりと大忙しなのだが、中が騒がしいおかげで
誰一人としてルーコトの存在に気づかなかったのである。


二段目のロケットが切り離されることになり、博麗の巫女に切り離しを促す指示がなされた。
今頃あちらでは退屈だから分離しろとか色々なやりとりが起こっていることだろう。
本当を言えば退屈だなんてとんでもない事態になっているわけだが、カミのメンツは取りあえず守られた。


切り離したロケットの確認をしていたルーコトのひとりから素っ頓狂な声で
報告があった。 なんでも簡易キッチンと燃料を同時に切り離したらしい。
いい加減に頭が痛くなってくる。もっとも霧雨のご息女がもつ八卦炉があるから大丈夫だろうと思う。


さてロケット内部には結局トイレがなかったわけだが
彼女たちがトイレ問題をどう解決したのか。
理論上は空間軌道上なら窓を開けても別に問題ないので外に投棄するのが基本だと思われる。
がしかし奴らは遙か斜め上の行動に出た。
それは白鳥に似せたアレだった。 
皆まで言わせないで欲しい。