□月 ●日  No659 地鎮祭で根回ししましょ

 

幻想郷で土木工事をする場合、当然のごとく地鎮祭を執り行う。
基本的なルールは顕界と同じなのが興味深い。
ただし幻想郷における地鎮祭はちょっとだけ別の意味合いがある。


幻想郷の地下には地獄などの地下集落が存在して、便宜上当社では魔界と呼んでいる。
この上で土木工事をすると当然のことだが魔界に迷惑が掛かってしまう。
そこで前もって段取りとお許しを請う必要があるわけだ。
ボーリング調査をするときも前もって契約書を発行するのも決まりである。
調査のプロセスで謝って魔界にある民家を破壊してしまった事例があるからだ。


うちの会社ではよく魔界の水抜き工事を請け負ったりしている。
最近だとデスマシン妹君の地下迷宮工事なんかは色々面倒だったらしい。
退屈しのぎで物を破壊するのはいいのだが、魔界を支えている地盤を破壊して
一部地域が床上浸水の被害を受けることもあった。
結局冴月が土下座して謝ったらしい。 難儀な話だ。


最終的にはノーレッジ女史とともに地下迷宮の一部を魔力によって中空化することで
折り合いがついた。彼女には地下の妖怪たちはクレーマー集団に映っただろう。
中空化によって騒音問題も解決できたのは非常にありがたい話だ。
ちなみに水に浸す方法も考案されたが、振動が余計に地盤崩壊を招くことが分かって
没になっている。
朝倉は今頃になって筋を通した方がよかったのではないかと後悔しているようだ。


つい先日、底に住んでいる鬼娘の一人と話をしたのだが、そこで地上の妖怪たちと戦う為の
スペルカードルールについての話になった。
曰く 博麗の巫女に会うと容赦なく襲ってくる。 曰く相手をボコボコにするまで赦さない。
つまるところ結構さんざんであった。
彼女たちの心配事はやっぱり弾幕ごっこによる地盤崩壊だったりする。
万が一攻めてきた(?)場合はどこで戦えばいいかと相談されて返答に困った。
とりあえず広いところと答えたら大いに納得していたからこれでよしとする。