□月 ●日  No668 比那名居の娘


会社に出社したらいきなりボスに呼び出される。
そこにはなんと隙間妖怪の姿が。いよいよ異動かはてまた何かとどきどきしていると、
なんと天界に行ってこいとお達しがきた。
天界仕様列車は主に魂魄が乗っているものだが、まず内装も外装も豪華で、真っ白けである。
数分居るだけで気が狂いそうになる。
運転は自動なので寝て過ごすことにした。


仕事はこうだ。商品を配達するついでに比那名居一族の娘に幻想郷の話をすることだという。
魂魄の話ではヴァンパイアの主人に負けず劣らずの我が儘娘と聞く。
もっともヴァンパイアの主人の場合は政治的意図も組み入れながらの会話だったから
ある程度ロジックが通じるのだが、今回はそれも期待できそうにない。


比那名居一族というのは結界インフレーションの時要石を借してくださった
とても偉い人だそうだ。 天人になるということはそういうことだ。
だが、天界はあまりにストレスが少ない世界であるが故に、ちょっとしたストレスがとても
苦痛に感じるらしい。 比那名居の娘に幻想郷の話をしに行くというのも
ちょっとした気晴らしのためだということらしい。


実際にあった比那名居の娘は、あまり北白河と変わらなかった。
確かに我が儘であるが、想定内の我が儘である。十分あしらうことができた。
なにより幻想郷の話にすぐに乗ってくれたのが助かった。


彼女自身退屈しのぎで幻想郷の中を覗いてはいるらしい。
しかし社会的なシステムや、行動原理は今いち理解していなかったようだ。
博麗の巫女の存在や、弾幕ごっこ、そして異変の話になると
身を乗り出して真剣に聞いてくれる。


私にも異変を起こすことができるのかと尋ねられたので、可能かも知れないけど退治される可能性が高いと
話しておいた。 痛い目に遭いたくなければ異変は起こすべきではないからだ。


何事も無く仕事が済んでボスと隙間妖怪に報告。
異変は起こすべきではないと伝えたことを話すと書類を一冊手渡されすぐに解放してくれた。
その書類には、博麗神社の改築工事の見積もり書と図面が書かれていた。
一体何が起こるのであろうか。


魂魄に比那名居の娘の件で話をしたら。
あまりにもおとなしすぎるので何か悪戯でも考えているに違いないと言っていた。
嫌な予感がする。