□月 ●日  No679 敵は梅雨 そして水虫


世間じゃ衣替えの季節と言うことで、うちの制服も薄着に移行。
うちの女子社員も薄着移行。 なんとも目のやり場に困る時期がやってきた。
うちの会社でもクールビズに加入したとかで、バッジを付けて半袖ノーネクタイで
過ごせるようになっているのだが、幻想郷に行けばネクタイなんて関係ないので
あまり実感がわかない。


妖怪たちの衣替えはもう少し後となる。
梅雨が終わってある程度気温が上がらないと彼女たちは薄着にならない。
上空は風が冷たいし、俄雨でも降ったら風邪を引いてしまうからだ。
だがこの時期少女妖怪の見えない攻防戦が始まるのである。


薄着になるとニーソックスなども全部生足となる。
これはこれで見る者を楽しませるのだが、ここで少女妖怪が血道をあけるのが
むだ毛処理である。 
カミソリを使う者、脱毛クリームを使う者もいる。
風見女史のように植物成分を混ぜた脱毛クリームを売っている妖怪も居る。
自分の足を見せてこれだけ効果がありますと宣伝するのだ。


さらに少女妖怪にとって靴はとても大切なファッショングッズだ。
空を飛ぶことが多いため実際の靴としての機能はあまり重視されていない。
外反母趾になりそうな小さな靴は当たり前、極端な高下駄は
姿勢を良くするには有効かも知れないがとかく歩きにくい。
そんな天狗達の高下駄夏モデルはこの時期公開となる。
今年の流行色もあるそうで、同じ朱色でも沢山の種類があるのだという。


薬屋でも脱毛クリームを売っている。
材料納品のために薬屋のところへ行ったら、詐欺師兎が悶絶しながら
気を失っていた。 たちこめる何とも言えぬ臭い。
靴の臭いだった。


雨に濡れて靴はびしょびしょである。
そして流行するのは水虫。 その臭いと革靴の臭いがハーモニーを奏でて
胃の内容物をすぐに逆流させることができる程の破壊力を生み出していた。
とりあえず木炭を調達して革靴の中に入れておいた。


ブレザー兎は荒稼ぎモードである。
うちの会社で扱える水虫薬はどうしても民生用の薬で止まってしまうから
どうしても劇的な効果とまではいかない。
その点薬屋の水虫薬はとても強力で顕界なみの治療ができるのだ。
私も水虫を患ったらとりあえず薬屋で治療をしてもらっている。
噂が噂をよび薬屋の水虫治療は完全予約制である。
しかも予約を取るために列を作る有様だ。


列の整理をしていたら秋姉妹がやってきて私がやっていることを尋ねてきた。
先ほどの通りに答えたら「裸足で居るのが勝ち組」とだけ言われた。
それを言ったらおしまいという視線が秋姉妹に集中したが
さすがカミ様 どこ吹く風だった。