□月 ●日  No682 幻想郷フードファイト


朝から腹痛と下痢が酷い。 理由ははっきりしている。
先日、幻想郷内で嘉祥(かじょう)なる行事が行われていた。
この行事、厄除けのために16個の餅や菓子を博麗神社に供えてから食べるというものなのだが


博麗の巫女がいつの間にか帰ってきていた。
このまま月から帰ってこなければ平 もとい 静かになっていたと思う。
朝倉から後日、報告の形で月で起こった数々の異変についてレポートが来る予定。
いよいようちの会社も宇宙進出である。


話を戻す。 この行事、その特性から幻想郷の住人に大人気の祭りだが
この16個がまずい。 実はお金を16枚供えても良いのだが、まずそんなことはしない。
みんなお金より食い気なのだ。
そういうことでまさにフードバトルが繰り広げられることになる。


最初の5個くらいは美味しく食べられるが、元々胃が弱い私にとってはこれ以降が拷問になる。
餅を作ってくれるのはおなじみ明羅女史と阿礼乙女のコンビ。 
お菓子や餅を用意するのは資産家の役目だからだ。
相手はニコニコしながら、私が食べ終わるのを待っている。 この屈託のない笑顔が恨めしい。
他の妖怪は食うことに苦労しない。 あっという間に口の中に放り込んで満足して帰っていく。


小食組メイド長 完全にチートしている。
あれだけの餅を食べたら、おなかのどこかが膨れる筈なのだが
恐らく少し食べては時間停止を繰り返しているのだろう。


ブレザー兎が通りかかり私にボッタクリ価格で胃薬を売ってきた。
いつか泣かすと心に誓いながら買った。
胃薬の効果はてきめんでなんとか完食に成功。 その足で例の神社に赴く。


そこでもやっぱり嘉祥イベントが執り行われていた。
お供えしたお菓子は外の世界仕様のコンパクトサイズである。
それらお菓子を見て、ふと気がついた。
あまり減ってないのだ。
おねえさんに尋ねたら、きょうびカミ様もカロリー摂取量を気にするのだという。
スタイルも体型も自由自在のはずだから、それは変な話だ。
よく観察していると「食べたら太る」と自己暗示をかけている自称現人神の姿を見つけた。


ああ、なるほどと感じ入りながらエクソダ もとい 帰路につこうとしたら
せっかくだからとお餅やお菓子を大量に渡され、食べろと命令された。
吐き気を押さえつつなんとか完食したときには、日は暮れて吐き気がとまらないわ
心細いわでろくでもない日であった。


イベントの日は休暇願を出した方がよさそうだ。