□月 ●日  No950 世間の役に立つために


うちの会社には数人くらいだが障碍者が在籍しているらしい。
我が国は基本的に一定の規模になると障碍者を雇い入れることが義務となっている。
人数は法律で決められており、在籍してない場合は税金を支払わないといけない。


うちの会社はどうか。いるらしいのは知っているのだが妖怪混成の会社のため
本当に気づかない。 そもそも幻想郷では多少の障碍が障碍としてカウントされない。
そんなことを気にする意味がない。 強いて言うなら妖怪の方ですか?と聞かれて終わりだ。
立場が特別というわけでもないし、別段あわせるべきと言う考えもない。
そういう意味では一切の差別がない理想的な企業とも言えなくはない。


第一歩行障害があったとしても幻想郷でなら空を飛べばどうってことがない。
酷いケースでは薬屋に通い詰めて月の素晴らしいテクノロジで障碍が治ってしまった人もいる。
この人は治療が済んだのにちゃっかり補助金を貰っていたりする。
外の世界では治療不可能と言われているから、治ったと大っぴらに言えないという事情があるが
ちょっと酷いと思ったりもする。


彼らは総じて真面目で、会社を辞める可能性は殆ど無い。
最近、自分の好きな仕事ができないからと会社を辞める輩も出現しているが、彼らの爪の垢を煎じて
呑むべきだと思っている。
人事でも幻想郷で活動できる柔軟性があれば優先して採用しているという話もある。


朝倉に言わせれば、価値観によって障碍と呼ばれるときと天才と呼ばれる場合があると言っていた。
見たものを忘れない超記憶も病気と捉えるのか能力と捉えるのかでまるで違うというわけだ。
この手の問題も色々単純ではないと言えるだろう。


薬屋にその辺の話をしたら、薬屋と知り合った大半の関係者は会社から支給される金を用いて
体と治療してしまうとのことだった。 会社への忠誠心が高まるので放置されているようだ。
道理でそういう関係者を見かけないわけである。


八雲商事という会社はいろいろしたたかなほうが面白いようだ。