□月 ●日  No1172 ダルマ大師


寒波がやってきたこの日、たまたま幻想郷に滞在していたせいで寒さをもろにかぶる。
病み上がりの身体にはきつい。
建物の中に避難するものの、風を凌ぐのが精一杯。すきま風が酷くてやっぱり寒いのが実情だ。
こういう日地底に配達している奴は勝ち組だと思う。


大師様一味が寒さでかなり弱っている。
大師様自身は身体能力強化でカバーしているものの、数百年単位で環境のいい地底にいたためか
体温制御で苦戦しているようだ。
様子を見に行ったら、まるでダルマのように服を着込んでガタガタ震えていた。
まだ神無月だというのに先が思いやられる。
この点、自称現人神はすごい。 幻想郷に来たときから既に寒さに強かった。


あまり寒がっているので、幻想郷で使っているカイロの類を用意する。
時期的に早いため入手は大変だったが、どうにか手に入った。
カイロといっても現代の使い捨てカイロとは違う。
所謂灰式カイロと呼ばれる代物で、主に登山などで長時間身体を温めるのに特化したカイロである。
わりと寒冷な幻想郷ではうってつけのものだ。
こういうカイロは顕界でも入手可能な中途半端に幻葬入りした商品の一つである。


一方で寒さに強い大師様一味もいる。ナズ軍曹と一輪嬢のふたりだ。
一輪嬢は元から寒さに強い生活環境にある。 もっとも、海水温が低いこの時期は雲山の勢力も低下するようだ。
ナズ軍曹は配下のネズミを円陣配置して皆の体温を総動員して寒さから身を守る。
同様の手段を持つのは虫妖怪であるリグル・ナイトバグだろう。 
配下の虫たちを痙攣させて高い温度を実現する。 


冬の間は地下で休んだらどうだろうと提案したら、示しがつかないと怒られた。
相当ぐさりときたのか、防寒具を脱いで色々動き始めた。
ほどなくして、大師様のくしゃみがそこら辺で鳴り響いた。
結局ブレザー兎を捕獲して、平和的手段で風邪薬を確保した。


自称現人神でもそうだが幻想郷にやってきて一週間たつとこうして体調を崩す人が後を絶たない
それだけ幻想郷という土地の厳しいとも言えるし、環境の変化は大きいと言えるかもしれない。