幻想郷に物資を運ぶ仕事をしている八雲商事。
そんな八雲商事にとって面倒な場所トップクラスはなんといっても紅魔館だろう。
この日、紅魔館は様々な場所で建造物が壊れたり、内装が剥がれたり
水の配管から漏れ出したりとトラブルが続いた。
メイド長も時間を止めつつ対応に当たったが、すぐに限界に陥ってしまったようである。
この原因はどうやら地下にあるらしい。
そもそもここ数年、紅魔館地下は色々と無茶なことをしでかしている。
プールを作ったりロケットの離着陸場を作ったりとやりたい放題だ。
そこにさらにデスマシン妹君の遊びが拍車を掛けている。
また、プールに地下水脈を用いたため、地下水取り込み部で機器の消耗が起こっている。
放置すると地下が水浸しどころか浸水しかねない。
ヴァンパイアにとって浸水は大敵なのでどうにかしないといけないだろう。
また、壊れたものを外に持ち出すのだけでコストの大半を使ってしまうことになりそうだ。
これでも最初に紅魔館がやってきたときよりは大分マシだというのが朝倉の弁だ。
紅魔館を制圧したまではよかったが、持ち出しの方が多かったというのは語り草となっている。
倒壊しなかったのは、ヴァンパイアの主人の能力によるものだったそうな。
ともあれ、それだけでは心許ないので、大修繕工事が行われることになった。
それは幻想郷ならでは大胆な手段で行われることになる。
すべての原因は地下である。 そこで紅魔館そのものを魔法の力で浮き上がらせて
水平をとる。 その間に地下の補修工事をしてしまおうという算段である。
魔力維持は魔法使いチームが全力で行うことでとりあえず決まった。
ノーレッジ女史に音頭をとらせるべきだと思う人はいるかもしれないが、
喘息で術が不安定になる傾向があるので、別の仕事を依頼している。
紅魔館の仕様を決めるのが私の仕事である。
今日も沢山の保証書やら、説明書の山を整理することになっている。
もっともメーカー保証が幻想郷でも通用するかは疑問だ。
部品関係は部品展開図から消耗品を当社でプールしておくのがセオリーである。
工期は数ヶ月かかるそうなので今から完成まで気が抜けない時間が続くだろうと思われる。
デスマシン妹君が作ったそばから壊さないことを今から祈ってならない。