□月 ●日  No1276 これが自称現人神の家だ。


自称現人神の邸宅分住宅設備の定期メンテナンス。
元々外の世界からやってきたこの建造物は当然のことながら現代技術の粋を
集めた代物となっている。
当然のことながら東風谷邸に入っている様々な設備は幻想入りしているわけではなく
定期的なメンテナンスを要する。


ここで東風谷邸の概要を説明しよう。平屋造りである東風谷邸は三人で住むにもかなり広い。
昔はまかないさんが住んでいたとも言われている。 
今は、魔法や奇跡を駆使して掃除をしないといけない。
すでに何度か改装工事がなされており、住宅設備に関しては最先端のものが導入済みだ。


水回りに関してはオール電化が採用されている。
現代人である自称現人神は炊事を行うのでさえでも不都合が生じることは容易に想像がつく。
幻想郷にガスボンベや都市ガスなどのインフラを移植するのは困難なため、
その全てを電力のみで運用できるように作られている。
ブレーカーは幻想郷仕様に交換された特別製であり、専用に用意された変電所より
地下ケーブルを経由して自称現人神の自宅に運ばれるようになっている。


幻想入りのルールに従うのなら、コンロはラジエントヒーターであるのだが
一応IHを採用している。こちらはおねえさんの意向でそうなっている。
要は幻想郷で火災に見舞われたら二度と復旧できないと思っての判断のようだ。
ちなみに給湯設備は、本当に幻想入り間近の電気温水器を使った貯湯型となっている。
最近はやりのエコキュートとは違う、信頼性が高く30年間は動き続ける。


太陽光発電もついているが、こちらは売電の必要がないので専ら自立運転モードのみで
機能している。発電量はそれほど高くないので、実は使用用途は酷く限られている。
緊急用の電力として、主にバッテリーの充電等に用いられる。


排水に関しては合併処理浄化槽が用いられており、定期メンテナンスが河童の手に
ゆだねられている。 幻想郷で汚水を撒くのはNGなので、幻想入りする前から
開通していた下水道との接続を敢えてやらずに合併処理浄化槽を入れたと聞いている。
このことから最初から自称現人神は幻想郷に行くことを意識していたと言っても良いと
思われる。


また合併処理浄化槽が用いられるもう一つの理由として生ゴミ処理にディスポーザー
用いているという事情がある。 幻想郷の場合、生ゴミをなにも考えずに捨てることは
周辺の妖怪や野生動物を餌付けすることに繋がり危険である。
また、ネズミなども出現しやすいので生ゴミを都度埋めるしかないのだが
それもまたリスクを伴うので、キッチン排水口で生ゴミを砕いてそのまま流すようになっている。


このように自称現人神の自宅は現代住宅でありながら幻想郷で生活するための
機能があらかじめ備わっており、とても興味深い作りとなっている。
しかし、本当に重要なことはここにいると、外の世界の息吹を感じることができることだ。
ここは外の世界とをつなぐ絆とも言える場所なのかもしれない。