□月 ●日  No1365 ボスによる妖怪達の姿に対するコメント


幻想郷の妖怪は専ら人の形状をする。
化け物の姿の方が相手に恐怖感を覚えさせるのではないかという意見もあるが
その化け物の姿すら人や生物の部品を組み合わせたものであると気づくと思う。
しかし、そのようなキメラと言える姿は最初こそインパクトを与えても
後が続かない。 近年視覚的インパクトは映像技術の進歩であまり有効ではなくなっている。


人間の姿をしない妖怪も最近は随分減った。
幻想郷でも外の世界でも、インフラは人にとって都合が良いようにできているから
妖怪も便利さを享受すべく敢えてヒト型になっているのが実情だ。
食事にしたって人間が生産する食事にフリーライドした方が
安定して食事が得られるのだ。 酷い話かも知れないが人の姿をした妖怪はどこかで
同じコトを考えている。


無理して化け物の姿になってもその姿を維持するコストを考えたら、楽をすることに
コストを支払うべきだ。
これは精神的より寧ろ肉体的負荷を減らすためである。


幻想郷では精神力が重視されるとよく言われる。
幻想郷は精神的な世界であると人は言う。もし、そうなら
妖怪が人間の身体を持っている合理的理由なんてない。


元来、精神と肉体は不可分だ。 これは妖怪も人間も変わらない。
体調が悪ければ、良い仕事など出来はしない。当たり前だ。
先に挙げた映像的化け物が大して効果を上げない理由もそこにある。
相手に危害を与えない化け物なんて恐怖に値しないからだ。


例を挙げる。
鬱状態にある人は総じて体調が悪い。
体調が悪いから思考が乱れて視野が狭くなる。
鬱状態から回復するのなら疲れを忘れさせる薬よりも寧ろ
体調を回復させることを優先させた方が効果が高い。
それは八雲商事に携わって知った成果だ。


身体を鍛えることが精神的な強さを鍛えることに繋がるのはそれに起因する。
体調が良くなれば精神的な負荷が大きく減るのだ。


これは妖怪にとっても同じことだ。
化け物の姿になって不便な生活を送れば身体に負担が掛かるのだ。 
それは結果的に精神的なダメージを慢性的に与えて妖怪としての自我が維持できなくなる可能性が高い。
だから人の姿に変化できるようになった者は妖精、妖怪問わず人の姿をしたがるのである。