□月 ●日  No1366 霧雨のご息女に幻想郷生活を思う


霧雨のご息女が高速で飛行している。
後ろを用心棒らしき妖怪が追いかけているが直に離されそうな案配である。
多分彼女が何かしらの盗みを働いたのであろう。
妖怪ハンターとして生活をしているものの、彼女の暮らしは決して楽ではない。
盗みをしないととてもではないが成り立たないと思う。


霧雨店の主人が勘当状態と言っているのはある意味、霧雨店の店員たちの
立場を守る為であった。本来なら盗みをしなければ生活が成り立たないのだから
すぐに音をあげて戻ってくるのではないかと主人は思っていたのかも知れない。
実際はそうはいかなかったから、今ではとある妖怪に彼女を監視させているという
噂を聞いたことがある。


幻想郷において一人暮らしは絶望的に難易度が高い。
食事を作るにしても沢山の時間を要するし、そもそも食料を得るために丸一日
費やさないとならない場合も多い。
だから幻想郷で一人暮らししている人々はたいてい歪んだ暮らしをしている。


私とて会社が用意した集合住宅に住み、食べ物などはある程度炊き出しに
頼っている。 顕界のインフラの一部が入っていてもこの有様だ。
幻想郷の住民は基本皆で寄り添って生きていかないととてもじゃないが
完全自給自足は困難だ。


外の世界の人間が一人暮らしできるのはやはりそれだけ暮らしが電化し、
基本的な生活が楽になったからに他ならないと思う。
幻想郷なら魔法使いがギリギリセーフである。
博麗の巫女は貧乏と言われているものの、一人で暮らしていけるだけの
経済力は有しており実は結構恵まれていることに気づくだろう。


彼女が博麗の巫女と行動を共にするのも結局は生活をするために
効率が良いからだと思っている。
その方が色々と監視活動をする上で都合が良いと言えるだろう。
彼女は幻想郷で精一杯生きていると思っている。