□月 ●日  No1428 あれから一年


道のど真ん中で幽霊が大量発生している場所を見つけて唖然とする。
一般的に幽霊はなにかしらの事情で冥界に行くことが出来ない所謂曰く付きの
霊魂がそこら辺に滞留することで発生する。
それ自体が妖怪一歩手前みたいな存在なので、こいつらを変に刺激するのは
アホがやることとしか言いようがない。


幽霊が大量発生しているということはまず間違いなくアンカーが設置されている
ケースが多いだろう。幽霊は自分が何処に行っていいのか分からないので
わかりやすい灯台の役割をするアンカーの周辺を漂っている場合が多い。
中にはムラサ船長みたいに自前でアンカー設置できる幽霊も居るが
それはそれである。


幽霊に直接触れると体温を大量に奪われるので
中有の道を歩くときに利用する専用メガネを着用しながら辺りを捜索してみる。
程なくしてアンカーと思われるものを発見。 墓石というよりそれは石碑の類のようだ。
文字はかすれているが、災害で大量に人命が喪われた際、死んだことに気づかない
幽霊がここに滞留したようなことが書かれている。


私が石碑を動かすといろいろまずいので、会社に連絡して然るべき妖怪に
移動を依頼する。 やってきたのは何故か魂魄だった。
幽霊を一瞥して、こいつらを駆除するのかと聞かれたが、可哀想だからやめてくれと
応えておいた。 魂魄は輪廻の道に戻すのが筋だから、あとで小町嬢以外の死神を
派遣しておくと言う。 


魂魄が剣を振るうと、なにか危ないものを察知したのか幽霊が蜘蛛の子を散らすように
その場から離れた。 安全になった石を動かしてみると、下から地面に埋められた
西瓜がごろごろ出てきたではないか。 
これには魂魄も閉口した。 なんて罰当たりな奴なんだという。
西瓜は良い感じで冷えていた。 結構効率はよさそうである。


西瓜がお釈迦になるのはいやなので結局西瓜事動かしたが、
ここに西瓜を埋めた人を特定すべく、カメラでここを監視することにした。
やってきた三月精については白黒のデストロイヤーどもに退治を依頼しておいた。