□月 ●日  No1546 ご愁傷様と言わざるを得ない


朝倉が最近、幽霊に憑かれて肩が重いとぼやいている。
とうとう老化現象が始まったかと言ったら、ピコぽんハンマーで壮大に殴られた。
なんでも乗っ取り型の妖怪に憑かれたのだが、朝倉なので
特に乗っ取られることもなく、そのまま飼っているらしい。


このタイプの妖怪、身体を乗っ取っては色恋沙汰を展開して傍から見ると面白いが
当事者にとっては洒落にならないような悪戯をしてくるので有名である。
では、幻想郷の著名な妖怪を乗っ取りはしないのかと思うだろう。
残念なことにそれは殆どないという。
それは氷雪事変の後の話。


隙間妖怪が冥界との境界を薄めたため、場所によっては乗っ取りを仕掛ける
幽霊達が可視化さらに、弾幕が当たるようになったのだ。
つまり、相手の身体を乗っ取ってて色々悪戯した後、心神ともにずたぼろにされる
というわけである。確かに弾幕をもろに喰らったら確実に消滅コースだ。


こういった幽霊達が可視化することで別の現象も起こっている。
特に悪質なケースなので取り上げてみたい。
乗っ取りというのは乗っ取られていると認識されていると対処方法は
割と簡単である。 よく自分の身体を傷つけて乗っ取りを解除するという
戦術が採られるが、精神的遮蔽をするだけで彼らの行動を抑制することが
できてしまう。


そこで本当の悪党は自分に幽霊を取り憑かせた後に彼らの意志とは裏腹の
犯罪行為をしてしまう。
そして、全ての責任を幽霊に押しつけるのである。
実際このパターンで無実の幽霊が酷い名にあった事例があったと聞いている。
まあ、取り憑いた方も取り憑いた方なのであまり同情はできない。


さて、朝倉だが寝ている時には乗っ取ることができるのかと思い
皆で昼寝時期を狙って観察すると、男に言い寄る朝倉の姿を発見。
少々しゃべり方が違うので多分妖怪の仕業だと確信したが
どうしても言わないといけないので言っておくことにした。


「それ普段と変わらないのですが」


奴は天を仰いで、朝倉はその場に倒れた。
ちょっとまてや。