□月 ●日  No1582 年末野風景 いつものパターン


八雲商事伝票の仮締め日。 仮締めと書いたのは本来の締め日が20日であり
支払いが25日であるためなのだが、年末になるとどうしても取引先の関係で
この日を仮締め日にしないといけないらしい。


といわけで続々と伝票が集まってくるが、同時にあるのが謎の会社から
お宅の支払い金額をうちが差し押さえるとかそんな類であり、そう何度も起こるわけ
ではないが年末の風物である。


そして今年も何も知らないアホがここにやってきて色々凄んで見せている。
応対したのが朝倉、というか警備員をスルーさせたのも朝倉である。
本人曰く、75点とかいう男だが生で見ると、ちょっと期待はずれだったのか
朝倉の声のトーンが低くなっていた。 色々な意味で残念である。


この男私にももの凄く高圧的に接してきて、皆でこういう風に言ってないと駄目だよね
とか色々裏で話していたのだが、丁度このとき借金取りの天狗がやってきて何時ものように
お互いに近況報告したら、男の態度ががらりと変わってこちらがびっくりした。


いきなり声色が変わった上に急に敬語になったのだからこちらとしてもたまらない。
朝倉が完全にその場でずっこけていたが、理由は直ぐに分かった。
借金取りの天狗がこの男に金を貸していたのだ。 つまり、この男は
借金取りの天狗の取り立てをどうにかするためにうちの会社に乗り込んだのである。
色々切ない話だ。


どうみてもジャッカルの追撃を防ぐためにトラのねぐらに乗り込んだらジャッカルと
トラが友達みたいな雰囲気である。 悲惨すぎる。同情を禁じ得ない。
裏で北白河の笑いが聞こえてくる。なんともコメントしがたい。


最後は平伏状態の男に借金取りの天狗が追いかけていきこの場は終了。
この後彼がどうなったのかは怖くて聞けない。