□月 ●日  No1699 ミスと


それは私がホームセンターで買い物をしているときに起こった。
店の周りを霧が覆い店内にいる人ごと閉じ込めた。
霧が覆うことは別に問題ではない。 ただ、危険をなんとなく察知したので
水と照明を購入し、携帯電話のバッテリーを用意、甘いものを一袋確保した。
ここは幻想郷ではないのでこういったものがすぐに買えるのは有り難い。
やがて、店の電気は消えて、当たりは真っ暗になった。
じたばたするのは意味がないので、トイレまで移動して水を確保する。
やはりまだ水道は止まっていない。


人が帰宅しようとしたときに異変は起こった。どうも周囲に何か居るようだ。
外に出ると悲鳴が聞こえてそのまま姿を消してしまった。
今時珍しいステロタイプの妖怪がいるようだ。


こんな場合はどうするのか?
まあうちの連中を呼べば問題は即解決だが、個人的には休暇が欲しかった。
とりあえず、霧が晴れて妖怪の正体が分かるまで待つことにした。
こういった場合、基本的には周囲と距離をとって単独行動が望ましい。
理由は単純。 人は人数が集まると思った以上にバイアスが掛かって
正常な判断が損なわれるのだ。


とりあえずトイレに陣取って、カイロを駆使して暖をとり殆ど寝て過ごした。
すると会社から電話が掛かってきた。朝倉だった。
あなたが休むと私が休めないという内容だった。状況を話すと
私が出張ると言ってきた。 大変だ。


下に降りると、残っていた人が険悪なムードになっていた。
中には宗教の勧誘をしてくる馬鹿も居る。 そんなことはどうでもよい。
これから化け物がやってくるというのだ。 なんとかしないとならない。
外にいる奴はただの妖怪だ。 あんなのは化け物のうちにはいらない。
むしろ外にいる奴に朝倉の足止めをしてもらうことこそ望ましい。


周囲に私は正気じゃないと言われた。大いに結構だ。
とりあえず私は身を隠すことにした。
まあ朝倉もここの人を襲うことはないだろう。 
違う意味で襲うかもしれないがイケメンに限る。


そしてついに恐怖の大王がやってきた。
僕らの希望である怪物の悲鳴は15秒ほどで止んだ。 役に立たない奴らだ。