□月 ●日  No1853 敵に回したら即死


ちまたでは厄介な奴が復活するという噂があっても幻想郷は平常運転である。
この時期一番元気な妖怪もとい幻想郷の住民と言ったら秋姉妹であり、我々の間では
そこら辺の神様や妖怪よりも立場が強い。たぶん、隙間妖怪並に立場は強い。
彼女の行動如何で幻想郷の食料自給率が冗談ではなく変動するからだ。


彼女たちは当然秋祭りに関しても口を出す。何故かというと冬に必要とされる備蓄量を
決めるためである。秋祭りに大量に食料を放出すると備蓄食料に響くのだ。
最悪の場合は八雲商事が乗り出す問題であるが我々の負荷が最小で済んでいるのは
間違いなく秋姉妹のお陰である。


しかし彼女の思考は想像以上にクールだ。何故ここまで食料を管理するのかと姉の方に尋ねると
人が一人餓死もしくは飢えた場合の生産性低下についてとくとくと説明された。
土地が痩せるのを防ぐために場合によっては水害を起こすことすらある。
流域に住んでいる人たちには良い迷惑だが、将来的な農作物管理を考えればそちらが有効と
判断すれば、ためらわずにやってくる。


故に、彼女たちは崇められるだけでもなく恐れられてもいる。
彼女の指先一つで、その年の生活まで変わるのだからたまらない。


さて、今日何故彼女たちの話になったのか?
実は今回復活するとか言うあの連中についてどういう見解をもっているのかと
尋ねられたらしい。あまり執拗に聞いてくるので今度はこちらに聞いてきたわけだ。
そして怖い言葉を聞いた。
「あの程度の人物がどうして妖怪にとって脅威なの?」


永遠の命を得たところで人間を多く引き連れなければ、自然に対して有効な手立てを執ることは
できないわけで、結局逃避手段として怪しい術に嵌った人でしょうと言われてぐうの音も出なかった。


たぶん、ここに色々危ない人が復活したとしても多分跳ね返されるだろうなと思ってならない。
ゆえに幻想郷は今も平常運転である。