□月 ●日  No1885 幻想郷の労働組合


幻想郷にも一応労働組合という者が存在しているらしい。
これは河童達などが勤務する工場などごく一部に導入されているもので、一応の勤務形態を監視し
特定妖怪による搾取を防ぐことを目的とした、それなりにまっとうな組織である。


労組の仕組みは八雲商事のトレスダウンである。生まれたのはどっちが先かはわからないが
少なくても八雲商事のような妖怪と人間が混成して勤務する形態においては、労働組合がないと
人間と妖怪の労働条件に不公平が生まれることは間違いないことだ。


労働組合の概念が顕界で生まれた時、幻想郷でも組織的労働には組合が必要だという理論が成り立っていた。
しかし顕界では労働組合に対する弾圧が起こっていた。現代における組合と雇用者のなあなあな
関係はなかったと言える。 
当時の企業は、労働組合を単なる雇用者に逆らうためだけの存在でしかないと認識していた。


しかし幻想郷においてはそうはいかなかった。幻想郷において労働組合は必要であった。
顕界が労働争議に明け暮れる中、幻想郷では近代的労働組合が誕生していたのはなんとも皮肉な話だ。
酷い言い方をすれば雇用側となれ合うような労働組合は幻想入りしていたと言える。
それでは顕界に労働争議が起こるのは当然だ。


故に幻想郷の労働組合は八雲商事をお手本にしながらも独自の強さを持っている。
どれくらい強いのか。 それは例の神社のおねえさんをたじたじにさせるもので、
比較的素行の悪い河童たちを集めて、サボタージュさせたりとか、かなり酷い手段も執っていたらしい。


そんなわけで、幻想郷の妖怪を騙してなにか巨大な建造物を建てさせるとか近代化させることは
きわめて困難なのである。これが一種のブレーキシステムとして幻想郷の過度な工業化を
止めているというのだから色々恐れ入る仕組みと言えるだろう。