ゾンビ生産元と呼ばれる仙人が居る。 この幻想郷の仙人は碌な奴がいないがその中でも特に
禄でもない奴として名を知られた存在だ。
性格は色々な意味でフリーダムであり、自分勝手である。家族はとっくに老衰死しており
ある意味、世の中の流れに逆らった人物である。
とはいえ彼女の生涯は決して平坦ではない。
彼女ほどの道術を学んだ仙人達はというと、そろいも揃って処刑されている。
大陸では道術は権力者の目に止まりやすく、迫害の対象にもなりやすかった。
使える仙人は権力者の手元に置かれたが、新しい権力者が現れるたびに彼らは逃げるしかなかった。
逃げなければ処刑されたからである。
いくら長寿命でも生き地獄を味わっては、自死したり自ら封印される者も少なくなかったと言える。
しかも封印された者はその後何度となく掘り返されては正しい復活プロセスを辿らないまま
歴史の闇に消えてしまっている。何故そうなったのか。それは皆まで言うまい。
そういう意味ではこのゾンビ製造元はとても幸運な存在である。ある意味天然記念物かもしれない。
彼女は競争の激しい大陸を去ったというが実態は亡命に近い。
美味い具合に権力者に取り入り、美味い具合に眠りについた。自分だけタイミング早く復活するように
仕向けた上でだ。
彼女がなぜ3馬鹿とともに隠れたのか。これについては大陸で起こった先の出来事のせいと言えた。
そのころすでに彼女のやっていることは悪行として知られることとなったし、悪霊を信じている
当時の公家達にとって彼女を放置するよりは、一緒に封印した方が遙かにコストが安かったといえる。
公家達は彼女の身の安全は保証すると言った。もちろん彼女は信じないで不死の集団をガードに
用意したわけだが。
この国は何だかんだ言って礼儀正しかった。墓荒らしも起こらなかった。約束は守られた。
彼女の身の安全は保証された。大量の公文書と共に。
だから彼女は生き延びることができた。もっとも復活した先は顕界ではなかった。彼女の目論見は
すでに見抜かれていて、復活してもどうでも良いところに送り込まれていた。
というわけで、彼女が使い込んだ金をどう回収するか検討中。私はそっちの方に沈められてもOKと
か言うのでこいつは普通の労働で使い込んだ金を回収させたいと思う。
本当ならマグロ漁船にでも連れて行きたいものだが、ここは幻想郷だから無理なのである。
ざんねん。