□月 ●日  No1970 戸籍ロンダリング


マミゾウから聞いた真っ黒い話。
人間が幻想入りした場合、一つ問題がある。
それは宙に浮いた戸籍である。


戸籍があると、各種社会保障や、免許の取得などが可能になる。
あればとても助かるがそう簡単に手に入る代物ではない。
そこで、幻想入りブローカーなるものが存在するらしい。
具体的には身を隠したい奴が対象で、戸籍を売り払って
幻想郷で再起を図ろうと考える連中である。


これのメリットは通常戸籍を売り払うとその人間が何か犯罪行為を
行ったときに問題となるため、消されてしまうのを防ぐ意味があることだ。
まさか戸籍を売却した奴が幻想郷に行ったとは思うまい。
ただ、戸籍を売った人がそのまま幻想郷でまともに生活できるか
どうかは別問題である。 
だいたいの場合上手くいかないのが関の山だ。


もちろん幻想郷に行くに当たってのガイドと支度金は渡される。
額にすると大したものではないのだが、連中はそれがどんな価値なのか
分かっていないので問題ないらしい。
我々のお金で換算すればファミレスで10回飯が食える程度と言えば
だいたい分かっていただけるだろう。


実はガイドにはうちの会社とほぼ同等の情報が載っているのだが
残念なことに連中は今の場所から逃げるのに精一杯で
ガイドの中身なんて読んではいない。せいぜいここの言葉が通じる
外国程度の発想しかない。 だからこそ商売が成り立つのだろう。


ちなみに売られた戸籍が幻想郷からやってくる妖怪達に宛がわれる。
かくして妖怪達は顕界で免許を取って社会保障を受けられるのである。
なんてこったい。