□月 ●日  No2129 レフト


八雲商事には労働争議として一つだけ認められていないものがある。
それはストライキだ。ストライキをやってしまうと、幻想郷に影響が出てしまう。
もっとも、それ以前の問題としてストライキそのものがとてもリスクが高い行為である。
すなわち幻想郷住民を人質にするようなものだ。


しかし、それをやった後の身の安全は保証されない。
なぜなら幻想郷のルールで同じことをやったら目的が達成されても
首謀者は自害させられるのが普通だからだ。
逃げたら暗殺の憂き目にあう。


八雲商事にもその手の人間が入ってくる場合がある。
休みの日になると動員だと言ってあちこちに飛んでいるようだが
一応その点は黙認している状態だ。
もっとも朝倉に言わせればこういう人物は常に監視が入っているらしい。
ひどいケースでは幻想郷に入れっぱなしにすることもあるのだという。


八雲商事社員で特定思想に妖怪を染めようとする者がいる。
大体の場合は徒労に終わる。妖怪たちの世間知を舐めてかかるからだ。
運が悪いと逆鱗に触れてそのままあの世へ直行なんてこともある。
こうなると大体の人間が心が折れる


これは宗教においてもそうである。
新興宗教にはまった社員が幻想郷住民を染めようとしたら
そんなのは常識として一蹴される場面があった。
社員の人には気づけよと言いたいが、ここからが傑作で、その人は
その宗教をやめたらしい。 理由を尋ねると理想郷を目の当りにしたら
今の世の中のほうがマシと分かったかららしい。


このように幻想郷は悲しいくらい思想から守られているのだった。
南無〜