□月 ●日  No2175 幻想郷は理想郷ではありません


八雲商事は幻想郷で利益を出すのはどうなのかとよく聞かれるのですが、その辺の話をひとつ。
八雲商事には経済学の人間も在籍しておりまして、援助レベルをどのように設定するのか常に協議されているのではありますが
基本的に物は売るもので差し上げるわけではないのですね。 意外と重要な部分なので申し上げておきます。


物をあげるというのはその世界の活力を減らすと言いますが、実際起こるのが市場の崩壊です。
たとえば、善意の名においてある商品を安く市場にばらまけばそれが基準になって商品のデフレが起こるのですが
このことが、販売しても無駄という状況を生み出して経済活動を阻害することになります。
たとえば儲からないとなれば新規参入者が減ります。 新規参入が減ると、古い会社から消えてなくなりますから循環が崩壊するのですね。
どう考えても不利益のほうが多い。


最近では箱庭世界をコンピュータースペース上で作ることができるようになりまして、数々の実験が行われていますが
行き過ぎも良くないとはいえ経済に活力がないと社会不安が起こります。
幻想郷でも社会不安が起こらないことは全くなく、ある程度そういう余地は残すというのが重要なのですが
幻想郷で社会不安が起こると、妖怪の活力上昇、妖怪が人を襲いだして、結果人間の団結力が上昇 社会不安の解消なんて仕組みが
発動します。なんともよくできています。
隙間妖怪の話ですと大体40人くらいの集落になるとこの仕組みを採用しないと容易に潰れるとのことです。


つまり世の中というのは理想論で語ることは不可能だということです。
現実との折衷を行うことが重要だということです。
そのためには清濁併せのむ機構が必要になる。 それができないで清廉潔白を主張すると碌なことないですよね。