□月 ●日  No2209 幻想世界と寄生虫


長い寿命を得ることに際して最大のネックがあるとしたらそれは腸内細菌や寄生虫の類であると言えるだろう。
特に長時間永い眠りにつくタイプの場合は、中にいる生き物も長時間眠りについてもらわないといけない。
意外とこの辺の思想は忘れられがちな問題である。


ゾンビ製造元が行う仙人になる技術は要するに肉体を捨てるアプローチである。結局人間と言えど複数の生物を内包している
事実は避けがたいことである。肉体は人為的に再構成されたものを使うのが基本となる。
蓬莱の薬では、薬服用時に存在していた腸内細菌データを保存し、再生成することで対応している。
この仕組みによりリザレクション直後数日間は飲み物しか飲むことができないと言われている。


寄生虫が命に係わる例もある。白狼天狗に感染するフィラリアがそうだ。
フィラリアは犬を最終宿主にする生き物である。体の中で成長して最後には肺動脈を冒すことで知られている。
白狼天狗は天狗になるに当たり真っ先に人間型へ変貌したと言われる。
人間の免疫細胞をコピーすればフィラリアを倒すことができることを学んだからと言われる。
もっともまれに人間でもフィラリアが成長して肺を冒す場合があるのだがリスクははるかに小さいと言えるだろう。


白狼天狗や中間管理職狐などとスキンシップを取る場合はエキノコックスに注意したい。
こちらは白狼天狗たちにとって問題がないが人間になった瞬間に問題となるタイプである。
このように人間と妖怪の場合体の中に違う細菌類を飼っている関係で一度人間型になると
元に戻れないことが多々あるのである。


長い寿命を持つというのは色々な意味で難儀であることを理解しておくと幻想郷でより永く生き残ることが
可能になるだろう。