□月 ●日  No2420 端午の節句ですから


5月5日となりますと幻想郷では飛行注意日として認識されている。
これは鯉幟が幻想郷にも存在しているからであり、鯉幟に近寄った妖怪たちが勝手に巻き込まれて墜落すると言う
笑えない事態になるからでもある。
従って鯉幟が上がる地域というのはある程度場所が決まっており、鯉幟がある地域では基本徒歩で
近づくか、飛行時は低空徐行を行うと言うのが基本となってくる。


それでもアホな妖精が勝手に鯉幟に近寄ってまかれる奴が後を絶たない。
触ってみるとさわさわしていて気持ちがいいからだそうで、氷妖精の類がそのような
行動をするとこの時期のちょっと暑いタイミングに微妙な冷風になって振りまかれることから
氷妖精の買収事案が極端に増えることでも知られる。
彼女が調子に乗って鯉幟にまかれて、挙句絡まって鯉幟もろとも墜落という間抜けな事態も
後を絶たないのがご愛嬌だ。
このパターンで墜落事件が起こった場合は、鯉幟は作り直し
恨みっこなしで決まっている。この辺は割とみんなさばさばしていると思っている。


ほかの妖怪は歩いて移動していることが多いようだ。
この時ばかりは鴉天狗も低空徐行飛行を行っている。毎回鯉幟を写真に収めてその
出来のよさを競う遊びがあるらしい。
鴉天狗の一人が鯉幟のひもをはずして宙を舞った鯉幟を写真に収めて
賞をとったというが後でひもは天狗が外したことが発覚して賞金が丸ごと
鯉幟の所持者に移ったという話を聞いてなんとも言えない気持ちになる。
よくあると言えばよくあることらしいが。


さて、今日みたいに風が少ない日になると、妖怪たちが鯉幟の中に入って
飛行するアルバイトをしている場合がある。彼らとしては柏餅などをもらって
さらにお金も手に入れられるこのアルバイトに色々賭けているところがあり
前日になると河童の天気予報箱に妖怪が萃まる異様な光景が繰り広げられるのである。


この辺は幻想郷の風物詩なのであまり異変として捉えることが無きよう。