□月 ●日  No3006 ウォッチ


 うちの探偵社に舞い込んでくる依頼の中で特に多いのは除霊だ。
 実際には霊なんていなくてただの思い過ごしが殆どなのだが、
 斜め上の展開もいくつかある。


 私が体験した事件の中で一番傑作だったのは、たしかに霊はいたのだが
 ってパターンだった。この霊はいわゆる守護霊というやつで、
 本人はいたって無害だが、実は隠された盗聴器やらカメラやらを警告していたという
 ものだった。


 ここで役に立つのはこの世のものではないものを見る事ができるメガネで
 どこかからの横流し品である。
 本人は深々と礼をしてきたので、こちらも礼をすると、依頼人にとっては
 なんともシュールな絵面が出来上がる。


 本人がジェスチャーで何かを伝えようとするので、すぐにさし示す場所へ
 移動すると、そこにはいかにもなコンセントタップが挿してあった。
 社用車から盗聴探知用の受信改造した無線機をかけるとアタリが出た。


 調べると出るわ出るわカメラとレコーダー。
 中を確認するかと尋ねると、その必要はないと言われて
 今回の依頼は終了である。


 ここまでは普通の話。実は私は守護霊から別の話を聞いている。
 ここで起こっていることの真実を。
 それは後は住んでいるもう一人の人が解決してくれるだろう。
 

 ヒントは、そうここにある盗撮盗聴器はすべて合法的なものである。
 そして録音もまた。