◎月 ☆日  No 140 防衛を履き違えない


人間を守るというのは力で守ることを言うのではない。それは本人の思い上がりである。 
永夜事件でその功績を認められた上白沢だが、ボスからはお灸を据えられていたらしいことがわかった。
新しい結界を作るための打ち合わせに先に到着してしまって暇を持て余したら、たまたま先に上白沢がきていた。
阿礼乙女が到着するまではしばらく時間がかかる。


ボスは同じように、能力なら上白沢よりはるかに格上の朝倉にも「私が知恵をやる」と言ってのけている。
何が問題だったのか? 自分の能力を客観的に把握せずに反射的に力を使用したことである。
これが逆に博麗の巫女とのいらぬ衝突を招いてしまった。 
結果的に上白沢は異変の原因を伝えることに寄与したが、ならば最初から情報を与えるに徹するべきだったのだ。
もちろん彼女たちの能力を測るために決闘をするのは問題はないだろう。
ならば市街地の上でやるのは愚の骨頂だったのではないか。 また要らぬ時間をかけさせたのも大問題である。
永夜の術は時限式の術であり、時間が惜しい状況下で戦闘を行ったのはやはり上白沢らしからぬ行為とは言えないか。


ボスはこうして論理立てて説明するのが好きらしい。 私はまるで追い込むように論を組み立てるボスが怖い。
まだ閻魔様の説教のほうがマシだ。 こっちの説教は同じことをくどくど言うタイプなので
聞いている振りをすれば問題がない。 ボスの始末の悪さは私がそれを理解しているのかを聞いてくることだ。
ボスが望む答えが返ってこない限り追い込みは続く。
ところが上白沢にとってはそれがとても心地よいらしい。 今度彼女が来るのはいつなんだと聞いてくる始末である。
上白沢の授業があまり好評ではない理由がなんとなくわかった気がする。