▼月 ▼日  No205 幻想郷のトイレ事情(紅魔館編)


紅魔館にはトイレがなかった。
結界の外の世界では洗浄便座すら標準となっているのにも関わらずである。
これには理由がある。 まず、ヨーロッパでは水が貴重であることが挙げられる。 
それに水は基本的に淀んでいる。一方で幻想郷は岩清水の文化である。  
また、温暖湿潤気候であるため、水はいつも余裕がある。
もう一つ、ヴァンパイアにしろヨーロッパ系の民族も便の量がそもそも少ない。
穀物を主食とする人種と、肉を主食とする人種の違いだ。


冴月が自分が突入した当時の記録を見せてくれた。 当時の紅魔館はきわめて不潔で
普通の人間なら一時間ともいたくない環境だった。 
あそこで怪我をすれば、ヴァンパイアの餌食になる前に破傷風にかかり死んでしまう位の有様だった。
デスマシンの妹君が精神を病むわけである。 私だってこんなところにいたくない。


そんな紅魔館にトイレが導入されたのは今のメイド長がやってくる少し前のことだったそうだ。
当時最先端の水洗トイレが導入されたのだが、トイレで顔を洗ったり、下半身を洗う者が続出した。
笑ってはいけない。 実は現代の米帝でもそうした専用の便器が存在する。だからトイレが浴室にあるのだ。
今のメイド長が聞いたらショックで失神しそうな話だが、幻想郷にやってくると
こうした文化の違いが垣間見えてとても面白い。