○月 ○日  No262 隙間に位置する世界


幻想郷を描写する著書は色々あるが、その著書の中にあるさまざまなものが何に由来するのかを
きちんと考えたものは実はあまりない。
我々は博麗大結界の隙間に存在してる存在である。
幻想郷を維持するために日夜活動している企業である。


著書の中でしばしば甘味についての描写がある。
江戸時代でさえ、人々が食べられる甘味と言えば干し柿などに代表される果物である。
中には甘草という植物を煮詰めてどうにか甘みを得ようとしたこともあったらしい。
幻想郷は論理結界とはいえ、その範囲はとてもそこに住む人間を養うには物資が少なすぎた。
砂糖でさえ、強力な流通が存在してこそ人の手に届くものである。
博麗の巫女は我々の業務があって初めて団子を食すことができるのだ。


朝倉に言わせれば、結界の外も中も本質的には変わらないと言う。
我々を取り巻くさまざまなものにはそれを支えているさまざまな人たちの力がある。
自分ひとりで生きることができると思われた妖怪も
結局は自分ひとりで何も出来ない存在だとわかると途端に親近感が涌くものだ。