幻想郷では原則半加工食品の搬入は禁止とされていたが、最近
白玉楼だけは許可の運びとなった。
理由は簡単、料理に時間がかかりすぎたらお嬢様の胃袋を満たすことが
難しくなるからである。
あまりに下ごしらえが長い料理では、すぐに白玉楼の食料ストックが
尽きてしまうのだ。
ためしに白玉粉を納品して、魂魄の跡取りにやりかたを教えたら
かなり楽しんでもらえたようだ。
白玉楼のお嬢様は、それはそれはおいしそうにものを食べるので
料理をはじめた人はとてもいい気分になるのではないだろうか。
最近はお団子の具もバリエーションが増えてきた。
小豆や砂糖、きなこなどなど基本的に外の世界と団子の具が変わらないのは
ご愛敬であろう。
はちみつなどの訳の分からないものも所々混じっているようだが
概ね問題はなさそうである。
白玉楼への納品は非常に特殊なルートを通る。 通常はうちの会社から直通で
物が届けられるのだが、白玉楼では幻想郷内の特産物も一緒に運ばれる仕組みなのだ。
コンテナいっぱいに積み込まれた食料だが、 白玉楼のお嬢様は
わずか一週間ほどで完食するらしい。
とくに飲食店から提供される料理の数々はかなりのものだ。 それらを皿に
盛りつけ直してお嬢様の食事を取り繕うこともあるという。
料理が下手な女の子もこれなら安心というわけだ。
朝倉や北白河がいくら食べても太らないのはうらやましいとぼやいていた。
女の子の正直な感想なのだろう。
しかし白玉楼の財務状況を理解している北白河はこう付け加えた。
「エンゲル係数が90%じゃなかったらね」と。