■月 ○日  No442 幻想郷の建築資材搬出


最近幻想郷の建築物が混沌さを極めている。
妖怪もグローバル化が激しいため色々な国のいろいろな建物が建ってしまい
まるで万国博覧会のような雰囲気である。


当然うちの会社にもハチャメチャな注文が舞い込んでくるようになる。
煉瓦を積むためのモルタルや、2×4建材なんかも列車で運ぶようになっている。
もちろんこれらの建物が幻想郷で持つわけがなく、耐用年数が恐ろしく短い。
多くの場合多雨で腐ってしまったりシロアリの餌にされたりで崩れてしまったり
補修を余儀なくされる家が多いのである。


上白沢が、最近幻想郷の風景が乱れて仕方ないと言っているが
ある意味仕方のないことだろう。 これで月人たちが流入したら収拾が
つかなくなりそうな案配だ。
現在でも和の建築物のど真ん中にアメリカ風の家が建ち並び、モスクのような
建築物が鎮座しているわけで、まるでおとぎ話のような統一された世界観なんて
ものは皆無である。


さて、こうした建築物を支える裏の商品がある。 それはカタログである。
建築資材の資料を収めたカタログだけで列車一両を使い切るのもざらだ。
下手をすると幻想郷に送られる出版物の2割はカタログと言ってものである。
これも尺貫法単位 メートル単位 インチ単位と寸法体系が違うため
混乱を生みやすい。 


永遠亭のニート姫はこの星を基準にした計測単位であるメートル法を嫌って
尺貫法に変換しろと文句を言い、香霖は香霖でメートル法でしかわからないと言う。
紅魔館はヴァンパイアの主人が両手を広げた約1400ミリ位を
モジュール単位にしている。 こうなってくるともう泣きたくなってくる。


お客様の寸法間違えで返品不能になった商品はざらである。
王手建材店は基本的に返品を受け付けないからだ。 そういった商品はとりあえず
河童たちに再利用してもらう。 おかげで河童たちの住宅は
ほとんどお金がかかっていないのだ。 喜んでいるのは河童ばかり
私はひたすら赤伝を書く日々である。