ハロウィン終了に伴う帰省ラッシュで冥界が大わらわとなる。
お祭りの後はでるわでるわゴミの山。
魔界の職員たちがせっせとカボチャランタンを処分している。
今年も結界の外では、環状線の駅構内で妖怪たちが酒を飲んで大暴れした挙げ句、
半ケツ状態で金網によじ登り奇声をあげていたらしい。
かわいい少女妖怪も台無しであるが、ギャラリーは止めるどころか必死に
写真撮影しまくっていた。 まさに世も末である。
そういう鬱話を憔悴しきった小兎姫から聞かされた。
相当ストレスがたまっていたらしく、普段の彼女には考えられない
マシンガントークになっていた。
警察が妖怪相手と言うことで非協力的だったことが不満だったらしい。
恐らく所轄外のトラブルに巻き込まれたくないというのが本音だったのだろう。
これでも去年に比べればマシだという。 最大の問題児だった者が幻想郷行きに
なったかららしい。 去年の写真を見せてもらった。
例の神社のおねえさんが映っていた。 見なかったことにした。
いくら出雲大社が近いからといって深夜こんなことをしていたのか。
冥界行きの列車はそのまま折り返し運転で一路妖怪の山を目指す。
そこで八百万のカミを乗せるのだが、その前に列車内を消毒する。
とにかく酒の臭いと吐瀉物の臭いが混ざり合って、カミ様といえど十中八九
気を失いかねないのだ。
防毒マスクと防毒服を着用してせっせとゴミの処理をする。
途中、何度も気持ちが悪くなってピンチになった。
床をデッキブラシで磨いて処理完了。 暫く水以外喉を通らなくなった。
列車に乗ったカミさまは精一杯おめかししていて、煌びやかである。
一年の中でもっとも美しい荷物が運ばれる瞬間である。
その中に例の神社のおねえさんを発見。 手を振ってきたのでなんとか笑顔を作って
手を振って返した。 絶対顔が引きつっていたと思う。