□月 □日  No628 幻想郷でお買い物


幻想郷で新鮮な野菜を買うため八百屋と交渉。幻想郷では基本的に値札がないため
きちんと相場を把握していないと会社で支給されているお金では足りなくなってしまう。
最近は、国営ラジオ放送でやっている野菜相場の番組を可能な限り毎日聞くようにしている。
どんな野菜が新鮮か、保管方法などいろいろと参考になるし、
価格交渉でも有利になる。
相場は納品の時にさりげなく聞いておくのがよい。
最近野菜が安いとか高いとかって言うと上白沢あたりがすぐに乗ってくるだろう。


買い物になれていないうちの社員がしばしば私にお金を無心してくるが、私も余裕があるわけではない。
最悪給料から天引きという事態となる。基本的に賞与から差し引くようになっている。
あまり天引きが多いと、会社から指導が入る。
お金の使い方には特に制限は無いとはいえ、妖怪たちの遊郭に入り浸ってお金を使い果たす困った人もいる。


幻想郷の外では買い物と言えばセルフサービスと決まっているが、幻想郷ではお店の人に
これをくださいと言うことになる。 どちらが優れているかと言えば甲乙付けがたい。
ゆっくり決めたいときは店員が邪魔だが、セルフサービスでは衝動買いが起こりやすい。


米帝で会社から支給された会員チケットを用いて、会員制のショッピングモールに行った時は
アホみたいに物を買ってしまって結局、得したのか解らなくなってしまった。
確かに値段は安いのだが、お菓子がみんなデカサイズで結局会社に持って行くことになった。


幻想郷での買い物のこつは必要な物を必要な分だけ買い求めることだ。
第一大量在庫を持つ店がないし、買いだめしたら重くてまともに持ち帰れない。
幻想郷では空を飛ぶ妖怪が多いことから、無理にモータリゼーション化する必要性を感じなかったのである。


量り売りも多い。天秤に分銅を手早く乗せて正しい重さを割り出す仕事ぶりは、まさに職人芸と呼ぶに相応しい。


たまたま鉢合わせた自称現人神に買い物の時に不自由しないかと尋ねると、八百屋さんが勝手におまけしてくれるから
大丈夫だと言われた。 美人は勝ち組だとつくづく思う。
また、例の神社のおねえさんもその気っぷの良さからお店の人にはとても気に入られているようだ。
お賽銭を極端に蓄財するわけでもなく、きちんとお金を使ってくれるので自称現人神様々といったところか。
そんな話をしたら、お金を使うのも徳ある行為のひとつであるらしい。


帰りがけに日持ちしない食べ物を物々交換した。 ふとインスタント麺に目がいったが、
河童印がついていたのでやめにした。
あいつら何でもきゅうり味にするからである。 迷惑な話だと思う。