□月 ●日  No714 綿月依姫 間違った方向へ信仰を集める


土曜丑の日、急造されたとある神社にウナギを運びに行く。
そこで祀られているカミ、それはうちのお客様であるワタツキ姉妹の妹 依姫である。
最近の綿月依姫。カリスマの階段を昇りまくりらしい。
ヴァンパイアの主人のカリスマとはちょっと違う。
こうなったのも烏天狗からもたらされたとある噂のせいだ。


実は綿月依姫は顕界でも通用する所謂天人様型カミとしての能力もあるらしい。
それでいて別のカミを下ろすことができるのは強いのは当たり前だろう。
本当はカミを下ろしているのではなく再現しているという説もあるもあるがそれはそれだ。


話を最初に戻す。射命丸文を尊敬するという別の天狗が書いた天狗文々。新聞山賊版によると
彼女に願い事をすると、女性限定で叶うというのである。
彼女は昔から海女さんを中心に信仰を集めてきた存在だ。
彼女の能力が大騒ぎになったのはオリンピック競泳での介入だった。
偶然行使された力によりとある選手がオリンピック選考をパスしたというので一躍彼女の名前は
顕界で有名になってしまったという次第。


当の本人はたぶん意識していないと思われる。
ただ一時期メタルモンスターになっていた反動でイメージ回復に努めた結果が
これだという話もある。
メタルモンスターになっていた彼女はとかく格好良くて、個人的には好きだったが
残念ながら復活する見込みはないとのこと。


神社には数多くの参拝客が来ていた。
丑の日に合わせてここがウナギ販売激戦区になっていたのも理由の一つだろう。
去年の激戦区だった博麗神社では、詐欺師兎がもたらした深海魚のせいでたくさんの
食中毒患者が発生したため閑散としているらしい。 
あの後薬屋が脅威のマッチポンプで解決し多額の利益を得たと情報部にある。


分社依頼をかけてきたのはよりによって自称現人神だ。 カミ同士のコラボで信仰を集めてやろうと
いう魂胆が見え見えで正直引く。
ただ、この神社には不審な点が多い。 まず当社で存在をまともに把握できていない。
建築資材もどこからもたらされたのかも分からない。 
殆ど休みがないはずの美鈴女史から明羅女史、冴月と何故かスポーツ系のメンツばかりが揃っているのが
妙に印象深い。 流石肉体派である。 これはリアル依姫を知る身としては納得できる内容だ。


陰で何故か詐欺師兎を発見する。 凄く嫌な予感がする。
深海魚を売ったら今度は小兎姫を呼ぶぞと言ったが、あまり効果がないようだった。
メトセラ娘が巡回するたびに何故かびくびくしていたが、昨年のことを考えると無理もない。


午後月の注文票を受け取る時に依姫に聞いてみた。
私の予想では恐らくこの神社は信仰を集めることで幻想郷に楔を打つのが目的と考えている。
そして同時に賽銭で外貨も稼ぐことができる。 顕界のお金は潤沢に持つワタツキ姉妹だが
幻想郷の通貨は喉から手が出るほど欲しいはずだ。
ところが依姫の話だと、ここまでお金がいっていないと言う。


何かひらめいたのでがしたので明羅女史に連絡、明羅女史はメトセラ娘にチクりほどなくしてこの神社の
ラクリが明らかになった。 
このお金はやっぱり詐欺師兎のほうへ流れていたのである。
最初の設備投資さえすればあとは丸々利益というわけだ。


メトセラ娘が最後に薬屋にチクって本日の小異変は完了である。
その後ワタツキ姉妹にお金がいったかどうかは定かではない。
薬屋の良心に期待する。